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根拠のない推測に基づく日本の原子力政策の危うさと罪

 日本の原子力政策は、すべて「~だろう」という極めて楽観的で不確実で、なんの根拠もない前提のもとに進められてきたのだと思います。

 福島の事故も、「震度7の地震は起きないだろう」「10メートルを超える津波は起きないだろう」「補助電源が全て停止するという事態は起きないだろう」といったことが、確定している前提で進められていたために起きた人災なのだと思います。

 しかし、東日本大震災でこれだけ多くの尊い命が失われ、多くの人がいまだに元の生活に戻れない状況にあっても、その姿勢は基本的に変わっていないと言えるのだと思います。

 汚染水が海に流れ込むことを防ぐための凍土壁は、最初から緊急用のもので、長く効果を維持することができないどころか、最初からなんの意味もないおそれがあることが分かっていながら、なんの根拠もなく「これでうまくいくだろう」という前提で進められ、実際にうまくいっていません。

 6年経っても溶け落ちた燃料がどこにどのような状態にあることすらわからず、その燃料を取り出す方法すらないのに、「いつかそのような技術ができるだろう」という極めて楽観的な見通しのもと廃炉計画が進められていて、世界の英知の粋を集める努力すらしていません。

 貯蔵プールに保管してる使用済み燃料ですらその取り出し方法はなくて、取り出したところで処分する場所すらないという状況で、どうして事故処理、廃炉が進められると思っているのか、正常な判断力があるとは到底思えません。

 廃止が決まっている「東海再処理施設」では、貯蔵プールに使用済み燃料の入ったステンレス製の容器が無造作に投げ込まれているような状態で、その映像を見た時には北朝鮮の核施設での研究者の話を聞いた時と同じような衝撃を受け、目を疑いました。「この映像は本当に日本なのか」としばらく信じることができませんでした。

 日本の原子力政策は一事が万事で、安全に対する姿勢は未開の独裁国家と同等レベルと言っていいのだと思います。そこに北朝鮮やナチスのような人の命を命と思っていない冷酷さや、放射線が目に見えないことから、その恐ろしさを理解できない幼稚さを感じるのは私一人ではないはずです。

 今、飯舘村が年間の放射線量が20ミリシーベルト程度になったことから避難指示が解除されることになっていますが、放射能の恐ろしさが分かっていないのか、わかっていて放射能による被害者が出ても構わないという冷酷さからなのか、どちらにしても人道的とは言えない措置がとられようとしています。

 20ミリシーベルトというのは、緊急時、つまり長くても数ヶ月の基準であって、これが10年、20年、30年と毎年この量の放射線を浴び続ければ、問題が起きないとは決して言えないのだと思います。原爆による被爆者の症状を見ても、放射能への耐性は非常に大きな個人差がありますし、年齢によっても大きな差があるので、その影響が一定以上の人に出てくるのは間違いないと思います。特に子供に対する影響を考えると恐ろしくて仕方がありません。いままでこのような措置を取った国が存在しないことから、長期的大規模人体実験と言ってよくて、放射能による被害者が少なからず出るおそれがあることから、ナチスとなんら変わらない非人道的行為なのだと思っています。私は国連人権理事会で取り上げてもらいたいと考えています。

 原子力政策に関しては、最終処分場がないという一点で、既に袋小路の状態にあるのだと思います。地震大国で降水量が非常に多い日本には、最終処分場に適した土地はないと断言できるのだと思います。これだけの重大事故を起こしてその被害は太平洋にも広がっていて、日本一国の話では済まされない状況の中で、「~だろう」という不確定な前提で進めていい政策では断じてないと強く主張したいと思います。

 今回の東芝の大失態を見てもわかるように、原子力は決して安い電源ではなく、リスクばかりが大きくて衰退の一途をたどることは間違いありません。もう一度立ち止まって原子力政策を考え直すということをしなければ、大震災で失われた多くの命が無駄になってしまいます。多くの尊い犠牲に意味を持たせ、「あの時に大勢の人たちが亡くなられたけれども、そのおかげで日本の禍の種が取り除かれてよかったね。」と後世の人たちに感謝されるような決断を今の私たちが下す時が来ていると思うのですがどうでしょうか。
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エネルギー政策の根本的な見直しを

 7月の鹿児島県知事選で脱原発の三反園訓知事に続き、新潟で再稼働に慎重な米山隆一知事が誕生したことは、巨大与党である自公に大きな衝撃が走ったのではないかと思います。

 来年早々衆議院選挙があるのではないかということでしたが、原発立地県はもとより、他県でも反原発で野党が候補を統一できれば、与党が相当苦戦する可能性が出てきたのではないかと思います。

 こうなってくると、衆議院定数の3分の2を維持することは以前よりもかなり難しくなって、1月総選挙の目はほぼなくなったのではないかと私は思います。

 原発は決して安い電源ではなく、福島原発の事故処理費用、これから相次ぐであろう廃炉費用、電源三法が既に電気代に上乗せされていて、これは間違いなく原発のために私たちが負担しているものです。この上に原発事故処理のために税金で負担している分、放射性廃棄物の最終処分場にかかる費用がさらに上乗せされます。

 火力発電に関しては既に原油価格も下がり、シェールガスも本格的に市場に参入することが決まっていて、原油価格を押し下げる圧力がさらに高まってくることが予想されます。

 また、火力発電の老朽化に伴い、新しい火力発電所の建設は避けることはできず、その時に燃費の向上した最新式の物に変わっていくので、火力発電のコストはどんどん下がっていくのは間違いないと思います。

 これから原発のコストはどんどん上がり、火力発電のコストが下がっていくと原発のメリットは一切なくなることが予想されます。

 環境問題を考え二酸化炭素を出さないために原発をという議論がありますが、二酸化炭素を出さないために放射性廃棄物をどんどん増やしますというのは、常識的に考えてどちらが環境に悪いか考えるまでもないことなのだと思います。

 自公もこれからの選挙を考えるとき、原発推進というのは致命的な足枷になるおそれが有り、公明党は選挙戦術を草の根にかえる必要があると言っていますが、変えるべきはエネルギー政策の方なのではないかと私は思います。

 国民の安全のために、与党としてはこれからの選挙を有利に戦うために、エネルギー政策の根本的な見直しは避けられないと思うのですがどうでしょうか。
 

もんじゅの廃炉で最終調整

 政府は12日、原子力規制委員会が運営主体の変更を求めている日本原子力研究開発機構の高速増殖炉もんじゅを廃炉にする方向で最終調整に入ったとの報道がありました。

 もんじゅは1985年に本体工事を着工していて、増殖炉自体が31年前の前世紀の遺物であると言えるのだと思います。

 このような旧式の装置を利用しようということ自体がありえないのだと思います。

 高速増殖炉の研究はフランスと協力して続けていくということが検討されているようですが、そんなことよりも福島の原発の汚染水問題、燃料棒の取り出し、廃炉、最終処分場の確保にお金と人員を集中するべきなのだと思います。

 汚染水の問題も、凍土壁では全く対応できないのは明らかですし、燃料棒の取り出しは、世界を見渡してもそれを可能にする技術はどこにもなく、今から研究し問題の解決策を見出していかなくてはなりません。フランスと協力しなくてはならないのは、増殖炉ではなく福島原発の廃炉までの非常に困難な過程の方なのだと思います。

 原子力政策は一事が万事で、お尻に火がついてる切迫した問題であっても全て後回しにして、さらに原子力政策を推進する方ばかりに力を注ぎがちなのだと思います。

 今すぐにでも解決しなくてはならないのは、原発の再稼働ではなく、福島の廃炉のためにも放射性廃棄物の最終処分場なのだと思います。

 世界で唯一の最終処分場と言われているオンカロでも、一部に地下水が染み出すことですべてを使うことはできておらず、場合によっては最終処分場にできるかどうかはわからないと言われています。

 日本では放射性廃棄物をガラスで固めて海底に埋めようという話がありますが、そんなことが可能ならば、オンカロが地下水をこれほどおそれていることの説明がつきません。

 自治体の反対で最終処分場の候補地が見つからないという問題以前に、地震が多く降水量が多い日本に、最終処分場にふさわしい土地は存在しないのだと思います。

 唯一の方法は多額のお金を積んで、地震がなく、地下水が絶対に染み出てこない土地を外国から借り受ける以外にないのだと思います。

 原発の廃炉、最終処分場のことを考えたら、その費用は青天井と言ってよく、さらに原発政策を推進しようとすることは、常識的に考えられないのだと思います。

 電力会社は、廃炉も国に任せようとしていて、それは全て私たち国民の負担になります。安い電源というのは、電力会社にとって安い電源とは言えても、立地自治体に支払う電源三法も含めて全て私たちが税金として負担しているので、私たち国民にとっては決して安い電源ではないのだと思います

 これだけ危険で、決して安い電源とは言えない原発は、致命的なデメリットばかりでひとつもメリットを見出すことができません。

 一日も早くすべての原発を廃炉にできるように、福島の事故処理、最終処分場の設置という厳しい問題を解決できるように、政府は世界中の技術者の知恵を集めて、全力を尽くすべきだと強く要請したいと思っています。

高浜原発1・2号機 最長20年の運転延長を認可

 運転開始から40年が経過した、福井県にある高浜原子力発電所1号機と2号機について、原子力規制委員会は、最長20年の運転の延長を全会一致で認めました。

 40年経過した原子炉施設は間違いなく劣化していて、廃炉にすべきという規則だったのだと思うのですが、一度の審査で20年も延長できるというのは、常識的に考えて全く理解できません。原子力委員会の責任を明確にするためにも、長くても5年に一度は同委員会がしっかりとコミットした形で、審査をやり直すということが最低でも必要なのではないかと思います。そこで、使用に耐えられない劣化がないかどうか徹底的に審査をするべきなのだと思います。

 しかしながら、原子力委員会の審査は世界一厳しいと言いながら、何をどのように審査しているのか全く信用できません。高浜原発4号機に関しては、再稼働早々自動停止し、その前にもボルトが緩んでいたために1次冷却水が漏れる不具合も起きています。

 原子力委員会のお墨付きは、全く信用度ゼロで、サブプライムローンが含まれた金融商品をAAAとした、多くの格付け会社と同じくらい信用できないのだと思います。

 日本の原発に関しては、日本の組織に任せていれば、福島のような事故が再び起きる可能性は否定できません。IAEAやアメリカ、フランスの原子力組織に積極的に関与してもらう必要があるのだと思います。特に福島原発の廃炉作業が遅々として進まないのは、事故の状況が、人間の技術力をはるかに超えた状況に陥っていて、世界の知識、知恵、技術の粋を集めても収束可能かどうかわからないと言われています。

 プライドを捨てて、全世界に助力を求めて、どんなにお金が掛かっても、事故の収束に全力を尽くしていただきたいと思います。

 また、日本は原発を稼働できる国ではないと言うことは明白なのだと思います。

 日本は世界の4つのプレートの上に位置し、どこでも大地震が起きる国であり、核廃棄物の最終処分場を作れない国でもあるのだと思います。

 地震に関しては、熊本の地震も、大きな地震が起きない地域と思われていましたし、先日の函館の地震などは、未知の断層による地震であることが発表されています。

 これは、活断層の有無にかかわらず、原発直下の地震の可能性があることを示していて、すべての原発を速やかに廃炉にし、日本から原発をなくしていく必要があるということが明らかになったのだと思います。

 また、核廃棄物の処分場は、安定した地層、地下水が侵入しないことが条件なのですが、処分場を許可する自治体がないという以前に、この二つの条件を満たす土地が日本にあるとは到底思えません。フランスの核処分場であるオンカロでさえ、地下水が侵入する部分が有り、すべてを処分場にすることはできず、もしかすると最終処分場になるかどうかさえわからないと関係者が証言していました。

 原発は国が税金で賄っていたり、事故が起きた時には国が責任を持つので、電力会社にとっては非常に安い電源なのかもしれませんが、国が関与している部分は私たちの税金が使われていて、結局すべての費用は電気代と税金で、全てわたしたち国民が負担しています。電力会社にとっては安い電源なのかもしれませんが、私たち国民にとっては決して安い電源ではないということが明らかになってきています。

 原発のメリットはほぼないといってよく、国を滅ぼす恐ろしいリスクだけがあるのだと思います。

 福島の事故の収束に全力を尽くし、原発すべてを廃炉にするという決断を国には是非ともお願いしたいと思っています。

原発の発電コストは政府のさじ加減で、結局私たちがすべて負担することに

 原発がコストの安い電源というのは電力会社にとって安いのであって、私たち国民は 電源三法という形で原発の建設、運用に必要な原発建設地域への補助金を支払っていて、それは、原発の発電コストに含まれていません。そして、福島の原発事故の処理費用の一部も政府が肩代わりしていて、それは私たちが支払う税金で賄われています。

 また、電力自由化に伴い競争力を維持するために、廃炉費用も政府が肩代わりするといったことが検討されています。原発の発電コストは政府のさじ加減で安くも高くもなって、それで原発は安い電源というのはあまりにも都合が好すぎると言わざるを得ないのだと思います。

 原発の発電コストは、電力会社が背負うコストだけではなくて、政府が支払う費用も含めて、私たち国民が実際に負担している費用すべてを発電コストと考えるべきなのではないでしょうか。

 また、原発を稼働させれば電気代が安くなると言いますが、実際にどれだけ安くなるのでしょうか。普通に考えて、原発の割合はすべての電源の2割程度で、原発がただで電気を供給できるとしても、安くなるのは2割ということになります。実際には原発を動かすのはただではないわけですから、それほど電気代が安くなるとは思えません。2014年の時点で、原発の1kWhあたりの発電コストは10.1円、LNG火力のコストが13.7円、原発のすべてをLNG火力に代えると、13.7÷10.1×0.2でおよそ2.7%電気代が高くなる計算になります。日本の電力は総括原価方式で、コストに対して一定の割合をかけた値段になるので、おそらくこの計算であっているのだと思います。

 1ヶ月の電気代が7000円とすると、7000×1.027で7189円になります。1ヶ月189円安くするために原発を稼働させ続けることは、はたして賢い選択といえるのでしょうか。

 しかもこれは2014年のデータで、原発の廃炉費用や事故処理費用が確定していない時点のもので、いまは異常とも言える原油安で、火力発電もこれから燃費のいいものに代わっていったり、さらにシェールガスも本格的に市場に参入してくることが確実になっています。

 原発のコストは上がる一方で、火力発電のコストはこれから劇的に下がっていくことが予想されます。

 原発が安いと言っても、私たちが受ける恩恵は本当に限定的で、もしかすると近い将来火力の方が安くなるということもあり得るのだと思います。

 リスクの分散と言っても原発の発電量はせいぜい2割で、原油の輸入が途絶えれば、原発でリスク回避ができるとは到底思えません。いざという時のシェールガスの融通、ロシアとの関係強化、石炭発電、再生可能エネルギーの強化、火力発電の効率化、省エネ技術の更なる革新といったことのほうが原発継続よりもはるかに重要なのではないでしょうか。

 今回、熊本地震のように地震が起きないと言われてきた地域で、最高レベルの強さの地震が何回も起きたことを考えると、原発のリスクは今まで考えられてきたよりもはるかに深刻になったのだと思います。

 もう一度原発の事故が起きれば、日本は壊滅的な打撃を受けることは想像に難くありません。

 日本を守るために、未来の世代に美しい日本を残していくために、政府は大きな決断をするべき時が来たのではないでしょうか。
 
 

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