2017/12/28
貴乃花親方は権力欲にまみれた人ではない
人が人のことを判断するときに、自分がこういう人間だからこの人もそうだろうという先入観で見てしまいがちということはあるのだと思います。貴乃花親方の行動見るときに、派閥争いや立身出世に汲々としている人たちは貴乃花親方もそうなのだろうと思ってしまいがちなのだと思います。しかし貴乃花親方は一人現役の時から八百長とは無縁で、人間離れした大きさのハワイ勢がいる中で無類の強さを発揮し、史上最強なのではないかと言われています。それは並みの努力で達することのできる境地ではなく、自分に対して本当に厳しく徹底した鍛えによってしか成し得ない結果なのだと思います。まさに文字通り相撲道に不惜身命を貫いた横綱であったと言って間違いはないのだと思います。普通の人が自分と同じと思っていたら親方の真の思いを理解することはできないのだと思います。貴乃花親方は現役を引退し親方になってからも自分を追い込むような厳しい道を敢えて選んできました。反社会的勢力との関係から問題になったタニマチといち早く決別し、サポーター制度を立ち上げました。これはかなり厳しい選択で、なかなかサポーターを集めるのも難しく、苦労の割にはお金も集めにくい制度だったと思います。しかし、相撲協会の信頼回復のため、また、安価で相撲ファンとのつながりをつくり、相撲ファンを増やし、相撲界の裾野を広げていくために敢えて選んだ厳しい道だったのだと思います。
2010年に二所ノ関一門を離脱したいわゆる「貴の乱」でも、一門を離脱することで協会からの支援を失うという厳しい状況に自らを追い込んでいて、それは改革への強い思いからであって、実際に利益を失っていることから自分の利益のためではないことは明らかなのだと思います。
また、その後の野球賭博問題で、理事選で自身を支持した阿武松親方の弟子と床山、それに大嶽が野球賭博に関与して処分の対象となったこともあって退職願を提出しています。
貴乃花親方は本当に人気実力ともに最高の力士と言ってよく、相撲界の将来や相撲人気を支えるファンの人々を大切に思い、自らが厳しい状況に追い込まれることになっても信念を曲げない真の横綱なのだと思います。それは現役を引退してもまったく変わらないように思います。
伝統を守ることを大義名分とし、既得権益を守り、権力争いや保身に汲々としているのはむしろ相撲協会であって、これだけ大きな社会的な問題を次々と起こしているにもかかわらず、隠蔽体質や一般常識とかけ離れた発言は以前と何一つ変わっていないように思います。そして、相撲界の信頼回復やファンのための改革を主張する人々の言動を抑えつけ、「権力欲にまみれた人間」というレッテルを貼るのが、協会の常套手段と言っていいのだと思います。
今回一門を離脱した錣山親方も、「権力争いのための離脱」というレッテルを貼られることが分かっていたため、敢えて貴乃花一門には入らないという選択をしたのだと思います。
錣山親方も、最軽量に近い力士でありながら連続出場記録まであと一歩というところまでに至った努力の人なのだと思います。当然誰よりも努力し、自分に厳しくなければあの時代にあの小さな体でそこまで戦えるはずがありません。
最近では会場の開門時に先頭に立ってもぎりの仕事もしていました。観戦にきたお客さんは本当に喜んでいましたし、錣山親方も協会のため、ファンが喜んでくれるならなんでもしたいという人なのだと思います。錣山親方が権力争いのために行動する人と思える人は、相当人間が曲がっているとしか思えません。「協会のルールの中で、協会がよくなるために自由に発言できる立場になりたい」という発言に嘘偽りはないのだと思います。
そして、その発言からもわかるように相撲協会自体が改革を拒み、改革のための発言を抑え込む力が強く働いていることは容易に想像できるのだと思います。
隠蔽体質の協会を懸念し、警察に被害届けを出した貴乃花親方を処分するようなことがあれば、同じような事件はまた必ず起きます。そして今度は公にならず何もなかったことにするおそれも十分にあります。そうなれば危機管理委員会や横審の責任も追求せざるを得ないのではないでしょうか。
貴乃花親方を処分するのではなく、今回の事件を契機に協会自体の隠蔽体質を変えていく機会にする必要があると考えているのは私一人ではないと確信しています。