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憲法改正と内閣支持率

 内閣支持率に関してはひとつの明らかな法則があるのだと思います。前回内閣支持率が急落したのは、集団的自衛権の合憲化を含む安保法制の改正時で、今回は憲法改正と共謀罪、これに森友加計問題が加わることで内閣支持率は危険水域にまで暴落しました。

 憲法、特に9条に対する国民の意識は数年前とは大きく変化しているのは間違いないのだと思います。中国や韓国に対する蔑視という点ではあまり変わらない一方で、世論調査やインターネットの意識調査、ニュースに対する意見を見ると、安倍総理の右寄りの発言や政策に対する批判の多さには驚きを隠せません。特に若者の意識が大きく変わっているのではないかと思います。

 今回加計学園の問題が内閣支持率を大きく下げたのは間違いないと思いますが、おそらくそれがなくても内閣支持率はかなり下がっていたのだと思います。

 この秋に憲法改正の発議に向けた自民党案を国会に提出するということですが、この行為はかなり危険な行為と言わざるを得ないと思います。

 安保法制にしても共謀罪にしても、世論調査ではむしろ賛成の人の方が多かったのにもかかわらず、成立時には内閣支持率は急落しています。憲法改正、特に9条に関しては世論調査でも賛成が半数にはるかに満たない状態で、これを強引に進めれば、内閣のみならず、自民党の支持率も取り返しがつかないくらい暴落し、無党派層が現在よりも急増することは確実なように思います。

 その無党派層の票は、小池新党が国政に進出した時に一気になだれ込み、都議選のような現象が国政においても見られる可能性はかなり高いのではないかと思います。

 憲法改正の議論は、今の自民党には党の存続に関わるほどの致命的な大打撃になるおそれも十分に考えられるのだと思います。

 憲法改正までのタイムテーブルにこだわるべきではないと思うのですがどうでしょうか。
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憲法改正の実現性

 安倍総理は先日、憲法改正を求める集会にビデオメッセージを寄せ、「2020年を新しい憲法が施行される年にしたい」と表明されました。総理は改正項目として9条を挙げて「1項、2項を残しつつ、自衛隊を明文で書き込むという考え方は国民的な議論に値する」との考えを示されましたが、かなり険しい道のりが待っているように思います。

 この案は、加憲を主張する公明党に配慮したものだと思いますが、自民党内でも第2項と前文の改正がなければ意味がないとする意見が大勢を占めると考えられ、私自身も9条の内容が変更されたり、全く変わらないというのであれば改正の必要はないと考えています。

 これは国民全体にも言えることで、改憲派、護憲派ともにこの案に賛成する人はかなり少ないのではないかと思います。衆参両院で3分の2の賛成が得られたとしても、NHKの調べでは9条の改正が必要とする人は25%、必要がないとする人が57%なので(http://www3.nhk.or.jp/news/html/20170429/k10010966601000.html)、国民投票にかけられても過半数を得られる確率は極めて低いと言わざるを得ないのだと思います。

 いま日本はデフレを脱却できるかという正念場を迎えていて、金融緩和を断行し、消費増税を延期または凍結にできるのは多くの政治家の中で安部総理しかいません。また、アメリカとの二国間交渉、EUの存続の危機という日本の経済にも大きな影響を及ぼすおそれのある不確定要素があるなかで、柔軟な金融政策は日本の大きな武器になることは間違いないのだと思います。

 憲法改正を発議し、これが失敗した場合には安部総理の退陣は免れないことを考えると、世論の動きを見極めたうえで慎重に行動していただきたいと考えています。

安倍総理の所信表明演説中の拍手が今後にもたらす影響

  安倍総理が先月26日、衆議院本会議で所信表明演説を行った際に、自民党議員らが立ち上がって拍手をしたことについて、政府は問題はなかったとする答弁書を閣議決定しました。

 確かに画的にはかなりやばい感じの映像になっていましたが、内容を聞いてみれば、安部総理の演説に対して拍手したのではなく、命をかけて日本国民や日本の領土を守ってくださっている、自衛隊の方々、海上保安庁の方々、警察官の方々に対する敬意と感謝の拍手であって、私自身の何の問題もないと思い、ヤフーニュースの投稿欄にその旨を意見したところ、私の意見に反対という人のほうがかなり多くて驚きました。そして、安倍総理の危険性を訴える意見が多く見られたので、『随分と風向きが変わった』ということを感じました。

 どうも若い人たちは、日本の軍事力行使の拡大に対しては必要であるという思いはあっても、戦前の日本に戻るといったことには拒絶反応を示しはじめたということが言えるのだと思います。

 安部総理に対しては、日本の軍事力を強化し、他国に対しても対等になれるという期待はあっても、左翼的な人達が主張しているような、戦前の日本に戻すといった常識では考えられないようなことはまさか考えていないだろうと思っていたのだと思います。しかし、憲法改正の議論で、自民党の憲法草案の撤回の要求をかたくなに拒否する姿を見て、安倍総理の正体に気づき始めた人が増えてきたのではないかと思います。

 自民党の憲法草案は、国民の権利を制限し、国民の義務を規定する内容がいくつもあり、本来権力を縛るという憲法の趣旨とは違った内容になっていて、そこに戦前の思想が所々に散りばめられた内容が話題になっています。

 終戦時、日本の権力の中枢を担った人々は、天皇制の維持と国体の護持の二つをどうにかして実現したいという強い思いがあったのですが、まずは天皇制の維持を最優先にして、国体に関しては後から元に戻せばいいという考えにまとまったと言われています。

 自民党結党時に自主憲法の制定を党是にしたのは、戦前の国家体制に戻すための自主憲法であることが容易に考えられて、自民党の憲法草案を見てもそれは明らかなのだと思います。

 戦前の国家体制は、権力者にとって極めて都合のいいもので、国民は日本の領土拡大のために、財産、自由、命までも捧げる体制で、それに少しでも反抗する者は捉えられ拷問にかけられ、それでも考えが変わらない人は命まで奪われていました。権力者にとっては理想的な体制で、権力者が少しでもこのような体制に戻したいと思うことは、国民が自分たちの為の政治をして欲しいと思うことと全く変わりがなくて、権力者の生存本能、防衛本能に基づいた動きとも言えるのだと思います。

 特に安部総理は、戦前の権力の中枢にいた祖父である岸信介氏の影響を強く受けている上に、代々権力者の家系に生まれ、おそらくそれは子々孫々にまで受け継がれていくことが容易に想像できるので、権力者に都合のよい体制に戻しておきたいと望んでいても全く不思議はないのだと思います。

 そう考えると、なぜ、戦前の軍部の行動を美化したいのか、靖国神社へのお参りにこれほどまでにこだわるのか、「美しい日本」とはなんなのか、「日本を取り戻す」ということがどういうことなのかわかってくるのだと思います。

 「美しい日本」とは、お国のために生き、お国のために死んでいくことを最高価値とした、戦前の日本人が持っていた倫理観、道徳観のことであり、「日本を取り戻す」というのは戦後レジームから脱却し、戦前の国家体制を取り戻すということなのだと思います。

 私の考え方が100%正しいとは言いませんが、それが正しいかどうかはあまり問題ではなくて、安倍総理がそのような危険な思想の持ち主であると感じる若者が増え始めたということが重要なのだと思います。

 今回の所信表明演説での自民党の国会議員の行動は、それ自体は問題のない行動であったのかもしれませんが、これからの憲法改正の論議に影響を及ぼし、大きく風向きを変えることになる可能性があるのではないかと感じています。
  

生前退位と憲法改正

  天皇の生前退位に関して、制度化には「憲法改正が必要」と内閣法制局が指摘していていることが明らかになりました。憲法第1条で天皇の地位は日本国民の総意に基づくと定めていて、天皇の意思で退位することはこれに抵触するという理由なのだそうですが、天皇陛下ご自身の意思だけではなくて、第三者機関を設けてそこで判断をし、国会が全会一致で承認するという形を取れば、憲法違反にはならないのだと思います。それでも足りないということであれば国民投票を加えてもいいのではないかと思います。

 戦前の指導者は官僚も含めて、終戦時に「天皇制の存続」と「国体の護持」の二つを最優先事項に定めていて、まずは「天皇制の存続」を確保し、その後、国体の復活を改めて実行に移すということを決めていました。

 1955年自由党と民主党が合併し自由民主党を結成した際に、国体の復活のための自主憲法の制定を党是としたことは明らかで、今回の天皇陛下の生前退位の御意向は、戦前の国体の根幹を成す皇室典範の改正につながるため、政府与党があらゆるいちゃもんをつけてくることは十分に予想できました。
 
 生前退位に関しては、今の皇太子が天皇になることで、皇太子が空席になり、秋篠宮の処遇がどうなるかということが問題になると言われていますが、これは全くのナンセンスな問題で、生前退位の有無にかかわらず、今の皇太子が天皇になった時点で確実に問題になることで、皇室典範の改正は避けられないのだと思います。

 憲法の改正がなくとも、生前退位を可能にすることは十分に可能なのだと思います。憲法改正が必要だからという理由でこの問題に決着をつけてはならないと思いますし、この問題は決してうやむやにしてはならないと思います。遅かれ早かれ皇室典範の改正は避けられない以上、天皇陛下がお元気なうちに十分に推考を重ね、長きにわたって施行されうる皇室典範の改正がなされるべきなのだと思います。

 これまで私を捨てて国民に尽くしてこられた陛下の御意向が実現できるように、次の国会で十分に話し合って、生前退位が実現できるように全力を尽くしていただきたいと思っています。

憲法改正の必要性は?

 憲法とは、国民の権利を守り、国家権力の乱用を抑制するもので、簡単に変えられるものであってはならないのだと思います。

 また、憲法の改正を権力側から提案するということは、それは権力にとって都合がよく、国民にとっては大きな不利益になる場合があるので、それはどんな内容なのか精査する必要があります。

 憲法学者である木村草太教授が、改正する内容を言わずに、その手続きから変えたいというのは、結局今の憲法を変える必要がないということを自ら認めてしまっているのではないかと指摘しています。たとえば憲法9条では自衛隊が違憲になるおそれがあるから変えるべきというのは、いかがなものでしょうか。自衛隊に関して違憲判決が出たことはありませんし、国民の多くが自衛隊は違憲であるから解体すべきということは思っていないと思います。

 また、9条で竹島や尖閣を守れるかという意見がありますが、9条を変えれば竹島は戻ってくるのでしょうか。9条を変えて竹島を武力でもって奪還するのでしょうか。韓国には米軍がいます。日本にも米軍がいます。それで戦争状態になるということは常識ある人には考えられないように思うのですがどうでしょうか。アメリカが絶対に許さないと思います。にまた、あんな崖みたいな島を一つ戻すために自衛隊員の方々が血を流し、韓国人を殺すということを強要出来る人の神経が私にはわかりません。

 今は、韓国との関係を良好にする必要があるので出来ませんが、どうしてもということであれば、国際社会の討論の場所で、竹島は日本の領土であるということを主張し、これは日本が勝手に主張していることではなくサンフランシスコ条約で認められた内容であること、日本は竹島が日本の固有の領土であることを証明できること、国際司法裁判所で必ず勝訴できること、万が一敗訴した場合でもその判決に従うこと、韓国には竹島が自国の領土であるという証拠は一切なく、したがって司法の場に出ることは絶対にできないということを淡々と主張し、国際世論を味方にし、韓国を追い込んでいけば済むことなのだと思います。

 また、尖閣を守れているのは、アメリカが日米安保の第5条の適用範囲であることを明言してくれたためであって、日本が主体的に守ろうとすれば小競り合いが絶えず、大きな衝突になる可能性は否定できないのだと思います。はっきり言ってしまえば、憲法9条を改正したところで、日本は軍の規模、実績、核の不保持、国民性から言って、アメリカがメジャーリーガーならば日本はリトルリーグなのだと思います。

 私はむしろ、中国もロシアも、日本が憲法9条を改正するのを待っているのではないかと思っています。メジャーリーガーからリトルリーグに相手が変われば、それは両国にとって好都合で、実際に憲法を改正することに強く反対するという声明を中国、ロシアから聞いたことがありません。

 ロシアと中国に日本一国で対処することは不可能なことは誰もが同意できると思います。もしも日本一国で両国と対峙できるという人が居るならば、それは夢の中にいる人としか思えません。いま憲法を変えなくても同盟関係はいつの時代よりも強固であるといえるのだと思います。そして、日米安保条約の中で、憲法の果たす役割は非常に大きいと言わざるを得ません。

 日本が今の豊かさを保ちながら平和であり続けるには、日米同盟と憲法の両方がどうしても必要なのだと思います。

 憲法は国家権力の暴走を抑え、国民の権利を守る上で非常に大切なもので、簡単に変えられるようになっては困ること、今私たちが生活する上で憲法を変えなければ困るということは全くないということ、憲法9条と日米同盟の両輪があることの大きなメリットを多くの人が理解するべきだと考えています。

 

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