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アメリカの北朝鮮への対応と拉致問題

 北朝鮮問題へのアメリカの対応は4つあるのだと思います。

①国際社会の圧力とアメリカの軍事的な圧力が功を奏し、北朝鮮が完全に核を放棄する。

②完全に放棄しないまでも開発を一時停止することで対話を始める。

③北朝鮮が核を放棄せずに武力行使に踏み切り金政権を終わらせる。

④北朝鮮が核を放棄せずに実質的に核保有国と認め対話を始める。

 ①に関しては、アメリカと中国、ロシアが同時に圧力をかけ、核を保有せずともアメリカは北朝鮮を攻撃する意思がないということを説得できれば実現する可能性がないとは言えませんが、その実現はかなり難しいと言えるのではないかと思います。

 一時的な措置にはなるのだとは思いますが、60日間挑発行為がなければアメリカは対話を始めると言われていて、②の可能性が一番高いのではないかと思います。もう既に水面下ではかなりの対話が進んでいる可能性もあるのだと思います。

 今回のトランプ大統領のアジア歴訪では、日本、韓国への訪問時には北朝鮮に対してかなり強い口調で軍事攻撃もあり得るとしていましたが、中国訪問時にはかなりトーンダウンしていて、③のおそれは全くないとは言えませんがその確率はかなり下がったように思います。

 識者の中には確実に武力行使により北朝鮮を崩壊させると主張する人もいて、戦争、戦後とも見通しがかなり甘いアメリカならやりかねないとも思えたのですが、やはり韓国、日本、グアムやハワイ、場合によっては中国への北朝鮮の攻撃を完全に防ぐことは不可能ですし、戦後の難民問題、または金政権の崩壊による脱北者の激増は極めて深刻で、北朝鮮兵士が武装難民として周辺国になだれ込むという事態になれば全く収拾がつかなくなることは目に見えているのだと思います。武力行使は現実的ではないということと、戦争時、または戦後に多大な被害を被るおそれのある中国、ロシアがアメリカの軍事オプションを許すことは考えにくく、米朝の戦争というのは普通に考えればありえないのだと思います。

 実際にトランプ大統領の発言も、習近平主席との対話、ASEANでのプーチン大統領との短い会見の後には、金正恩氏といつか友達になれるかも知れないとつぶやくほどに一変しています。

 ④に関しては、核保有国と認めて対話をはじめるか、表向きは認めずに黙認して水面下のみの交渉となるかはわかりませんが、いずれにしても日本は大きな方向転換を余儀なくされるのだと思います。1971年の米中の頭越しの交渉の時のようにあたふたしないために、できれば米朝の二国間ではなく、韓国も交えた4カ国間、少なくとも日本も参加する3カ国交渉になるようアメリカの動きと同調できるような準備は、圧力強化の動きと同時に行っていく必要があるように思います。

 ①②④のいずれの場合にも金正恩政権を認め、北朝鮮との国交回復、中国や韓国に行ったような経済援助という名の戦後賠償は行わざるを得ないのだと思います。

 その時に問題になるのは拉致問題ですが、一気に問題解決というのはかなり難しくて、オール・オア・ナッシングということになればナッシングになる確率がほぼ100%と言っていいのだと思います。

 日本に帰国できた人々は工作活動に関係していない人たちだけで、横田めぐみさんと田口八重子さんは工作員の日本語教師をしていて、北朝鮮の最高機密に精通し、今まで北朝鮮が行ってきた国際犯罪の証人になる可能性があるために、北朝鮮は何があってもお二人を返すということはできないのだと思います。お二人とも亡くなられたとされていることから、他の亡くなられたとされる方々も工作活動に深く関係していたことが予想され、全ての拉致被害者の安否を確認するためには、それらの方々を日本に戻すのではなく、北朝鮮国内で監視を付けた状態で会見するということから始める必要があるのだと思います。

 まずは安否の確認、そして、一刻も早く拉致被害者の方々とご家族が対面できる環境を作ることが最優先で、そのあとのことはそれから考えるべきなのだと思います。

 横田滋さんも会見に出られないほど健康を害されていていて、横田さんがお元気なうちになんとしてもひと目でもめぐみさんと対面できる場を作る責任が政府にはあるのだと思います。

 完全解決ではなく、ひとつひとつ可能性の高い目標からクリアをしていくという姿勢が、拉致問題解決の唯一の道だと私は信じています。

 ご家族の方々も歯がゆい思いをされることになると思いますが、できることから一歩一歩進んでいくという選択をお願いしたいと思っています。

金正男氏暗殺と拉致問題

 金正男氏が暗殺されたことで、拉致されている人たちの安否が心配されます。実の兄でも平気で殺す金正恩氏が、日本人を殺さないという保証はこれでなくなったと言わざるを得ないのだと思います。

 拉致被害者の家族の方々は完全解決を主張されていますが、ここで方向転換せざるを得ないのではないかと思います。

 金正恩政権の崩壊、クーデターがあれば、金正日総書記が中心になって実行された拉致自体が否定されて、経済援助を条件に拉致被害者全員と、拉致の実行犯の引渡しの可能性もあるのだと思います。しかし、以前よりも経済も好転し、核開発も数年を待たずして一定のレベルに達するのは間違いなく、恐怖政治によって反金正恩の実力者はほぼ全員粛清されたのではないかということを考えると、長期政権になるおそれは否定できないのではないかと思います。

 小泉政権時に帰国できた方々は、おそらく工作活動とはほとんど無縁な方々で、田口八重子さんや横田めぐみさんのような工作員の日本語教育に携わった方々は、亡くなったことになっています。他の亡くなったとされる方々も、多かれ少なかれ北の工作活動に関係する仕事をしていた可能性が高いのだと思います。

 そうなると、もしそれらの人々を日本に返すことになれば、北朝鮮の最高機密に精通したスパイを日本に返すことと同じことになるので、北朝鮮ではなく普通の国でも帰国させることは絶対にしないのだと思います。

 そこで、拉致された方々の安否を確かめるためにも、帰国を諦めて、北朝鮮国内で拉致被害者とご家族が接見することを当面の目標にするべきなのだと思います。

 ご家族もご高齢の方々が多く、タイムリミットは迫っているのだと思います。このまま完全解決だけを求めていれば、結局ご家族の再会は一切できずに終わってしまうおそれがあると言わざるを得ません。とにかく一度でも再会を果たすためにも、また拉致された方々の命を守るためにも、これが最も現実的な選択肢なのだと思います。 

 もう時間の猶予はありません。ご家族の方々と、日本の政府が一刻も早く決断すべき時が来ているのだと私は考えています。

今回の日米首脳会談の意義

 今回の日米首脳会談は、日米安保が両国にとって重要であることが確認できたことや、安部総理がトランプ大統領と個人的な親交を深めることができたということでは、これ以上ない成果を上げることができたのではないかと思います。

 トランプ大統領が難民の受け入れを一時停止したことを受けて、ゴルフをすることへの懸念がありましたが、日本の難民政策はアメリカよりも遥かにひどく、トランプ大統領を批判すればそれがそのまま日本に返ってくるのだと思います。いま日本はISからは敵対視されテロの標的となってはいますが、宗教的にニュートラルであること、中東の国々での印象が極端に悪化したという情報はほとんど聞かないことから、欧米諸国に比べればテロの危険性ははるかに少ないのだと思います。その日本が難民の受け入れを極端に制限していることのほうがトランプ大統領とゴルフをするよりも、国際社会からの批判は遥かに大きいのだと思います。まずは難民申請の審査を大幅に緩和して、数千人から一万人規模の難民を受け入れることは、国際社会における日本の立場からすれば当然の役割なのだと思います。

 今回の首脳会談では、トランプ大統領との親交を深めることはできたのだとは思いますが、以前のトランプ大統領とオバマ元大統領との会談の例もあるので決して楽観視はできないように思います。

 また、今回の首脳会談で財政、金融などマクロ経済政策の連携に合意しましたが、たとえばFRBが金利の引き上げを決定する際にドル高にならないように日銀に対して金融の引き締めを要求されるおそれが出てきて、日本のデフレ脱却が更に遅れる懸念が出てきたのだと思います。そうなると、円高と関税の引き上げのダブルパンチを喰らうおそれは否定できず、日本の経済が大打撃を受けるといった最悪のシナリオも見えてくるのだと思います。これによって株の大暴落が起これば、輸出企業のみならず、国内企業も大打撃を受けて、賃金上昇どころか大企業を含めた大量倒産、正社員も含めた大リストラの嵐が吹き荒れるおそれは否定できません。

 今回、安部総理とトランプ大統領の個人的な親交を深めることができたのは非常に大きく、アメリカに対して官民で十分な投資をして雇用の確保ができれば、二国間交渉で日本だけに不利にならないような交渉ができる可能性が出てきたのだと思います。

 この交渉がモデルケースになれば、アメリカが保護主義に走らずともアメリカの経済に十分プラスになり、雇用も確保できるということになって、世界経済にとっても大きなプラスになる可能性が見えてくるのだと思います。

 日本の国益のみならずこれからの世界経済を考えても、日米の交渉は大きな試金石になるのだと思います。この交渉がうまくいくことを心から祈っています。

慰安婦少女像の設置に対する対応

 韓国釜山で、日本領事館前に慰安婦少女像が設置されましたが、日本と韓国の間で合意ができている以上、設置した像を撤去する義務が韓国にはあるのだと思います。

 しかし、この問題は日本と韓国だけの問題ではなく世界の関心事となっています。欧米諸国では性犯罪は殺人と同列の罪と考えられていて、慰安婦問題はホロコーストと同罪とされています。そこに強制はなかったとか、ほかの国もやっていたとか、慰安婦と呼ばれる人が詐欺師だったとか、それが事実であってもそのような主張を繰り返せば、返って逆効果になるおそれが強いのだと思います。

 残念ながら、日本がどれだけ韓国に誠意を尽くしても、国際社会の評価は変わることはありません。日本は慰安婦制度を肯定する野蛮な国というレッテルを貼り続けられることは、外交や安全保障にとって致命的なものになることは否定できないのだと思います。

 国際的な問題が起きた時に国際世論が日本に否定的になったり、例えば日本と中国が紛争状態になった時に国際世論が中国の味方についたりといったおそれもあります。そして最も恐ろしいのは、アメリカ国民が日本を助けることをよしとしないということになった時に、日米同盟が十分に機能しないということがあり得るということだと思います。

 アメリカはいざ戦争という時には、9割以上の国民が賛成するのですが、その理由は西洋特有の価値観に基づく正義を理由に賛成しているように思います。イラクへの攻撃を開始するときも9割以上の国民が賛成しましたが、それは大量破壊兵器とか自衛とかが理由ではなくて、国民を虐殺する独裁者であるフセインを許すことができないというのが最も大きな理由だったのだと思います。そして、多くの米兵の犠牲者が出始めると、戦争の支持率が徐々に下がっていって、カオスの中で撤退するという結果に至りました。

 もしも日本と中国が紛争状態になった場合、最初は米軍も協力するとは思うのですが、アメリカ国民の支持がなければ、協力状態が長く続くことはないのだと思います。今はわかりませんが、アメリカでは、日本よりも中国の方が好感が持てるという人の方が圧倒的に多いという時期もありました。

 少女の像の撤去を強く要請することには基本的には反対ではありませんが、韓国政府も設置をさせない努力もしていましたし、なにより日本は慰安婦制度に肯定的だという国際世論が高まることがないように、慎重な対応をお願いしたいと思っています。

南スーダンに対する日本の考え方

 先日、国連安保理で 南スーダン制裁決議が採決にかけられ、7か国が賛成したものの、残る8か国が棄権し、採択されませんでした。日本は棄権して、アメリカや人権団体に非難されています。

 本来国連は中立の立場で、内戦の場合にはどちらにも加担しないということでしたが、加担しないことで多くの住民を見殺しにするということが続き、今はPKOに住民の命を守るという任務が追加されることになりました。

 しかし、それは武力によるものではなくて、政府と反政府勢力の仲介をしたり、どちらの勢力とも良い関係を築くことで住民の命を守るという選択肢もあっていいのだと思います。欧米の国はどうしても敵か味方かという極端な選択を好む傾向があって。それが戦争状態を悪化させるということが頻繁に起きているということも言えるのだと思います。

 反対勢力を根絶やしにするということはまず不可能で、どこかで妥協し、共存の道を探るということが求められるのだと思います。日本の場合には、無宗教で、70年間戦争をせずに奇跡的な経済発展を遂げてきたこともあって、多くの国から特別視されているというほかの国にない特徴があります。実際にそのような特徴を生かして日本人が部族間の仲介をして武装解除に貢献してきたという実績もあります。

 日本は政府側とも反政府側ともいい関係を結びやすい立場にあって、政府側が住民に対して武力を行使しようとした場合でも、自衛隊がいるというだけで住民を守ることが出来るということもありえるのだと思います。

 今ある紛争は、武力だけでは完全に解決することはできず、宗教、主義、主張が異なる者が共存することでしか平和状態を作ることはできない場合が多いように思います。ボスニア・ヘルツェゴビナはボシュニャク人(ムスリム人)とクロアチア人とセルビア人が血で血を洗う凄惨な紛争の後、内在的な対立はあるのかもしれませんが、平和的な共存の道を探っています。

 日本はISからは敵国とみなされ、邦人がテロの標的になっているということは否定できませんが、まだ日本を好意的に見ている国は多いのだと思います。

 西側諸国にあって、日本の特別な立場を捨ててしまうのは、世界の紛争を解決していく上で大きなマイナスであるということを粘り強く主張していく必要があるのだと思います。そのために国際的に意見が対立することがあっても、実績を積み重ねて信用を確立していく必要があるのだと思います。

 そうすることで少しでも紛争解決の役に立ち、その様な行動が、PKO活動に従事する自衛隊員や在外邦人を危険から遠ざけることにもつながるのだと思います。

 日本はキリスト教の国からもイスラム教の国からも信頼されやすく、戦争をしない国という特別な立場にあることを主張しながら独自の行動を取ることで、世界の紛争解決に尽力することが可能なのではないかと考えています。

 日本の政府も中途半端な態度を取るのではなく、西側諸国に従うというスタンスではなく、逆に紛争解決のためのリーダーシップを取るくらいの覚悟を決めて、国際貢献に取り組んでもらいたいと思っています。

 

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