2017/11/09
アメリカによる北朝鮮への武力行使の可能性
トランプ大統領が北朝鮮に対して武力行使を考えているのではないかということが言われていますが、ちょっとその可能性を否定しきれないような気がしています。日本にも北朝鮮憎しで後先のことを考えずに北朝鮮を潰すべきと考えている人は大勢いますが、トランプ大統領もそういう人たちと全く同じ人種であるおそれが言葉の端々から伺えるように思います。
普通に考えれば北朝鮮に対して武力行使をすれば、北朝鮮による通常兵器の報復だけでソウルの人々の命が100万人単位で失われ、経済的にも大打撃を被ることは間違いないのだと思います。また、核攻撃があると考えれば、今の段階で韓国、日本、場合によっては中国、グアムやハワイへの核ミサイル攻撃の可能性は完全には否定できません。それを100%抑えることが可能ならば、アメリカ本土、ワシントンやニューヨークに届くミサイルが完成しても射たれる前に処理することも可能と考えるべきで、それができないからアメリカも現在までの言動になったいるのだと思います。つまり、北朝鮮への武力行使を実施した場合、周辺国への被害を100%抑えることは不可能と言っていいのだと思います。
奇跡的に周辺国への被害が全くなく戦争を終えることができたとしても、指導者を失った北朝鮮の人々が中国、韓国、日本、ロシアに難民として大挙して渡ってくることは確実で、その数はおそらく百万単位になるのではないかと思います。その中には武装難民が含まれていることも十分に考えられて、大混乱に陥ることは間違いないのだと思います。
しかし、アメリカは戦争の見通し、戦後の混乱のおそれを過小評価する傾向があります。イラク戦争の時も戦後統治が失敗し、隣国を巻き込んだ内戦が起きるおそれがあることを多くの識者が指摘していたにもかかわらず、戦争に踏み切り、戦後統治に失敗したことで、内戦の末イスラム国の台頭を許すという事前の予想以上の最悪の結果をもたらしたという経緯があります。
今回の訪日でもトランプ大統領は北朝鮮がミサイルを発射した時に日本がそれを迎撃すべきだったと発言しましたが、もし迎撃に失敗した時の抑止力の低下や、迎撃したミサイルの破片による事故、むやみに北朝鮮を刺激して戦争状態になっても日本は戦争ができる国ではないという状況を一切理解していないのは間違いないのだと思います。
トランプ大統領が自分たちに都合のいい極めて楽観的な予測に基づいて武力行使に踏み切り、大惨事になるおそれは完全に否定することはできないのではないかと思います。
のぞみは薄いのかもしれませんが、なんとか金正恩氏が完全に降伏して、核の放棄を決意することを祈らざるを得ないと思っています。