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アメリカによる北朝鮮への武力行使の可能性

 トランプ大統領が北朝鮮に対して武力行使を考えているのではないかということが言われていますが、ちょっとその可能性を否定しきれないような気がしています。

 日本にも北朝鮮憎しで後先のことを考えずに北朝鮮を潰すべきと考えている人は大勢いますが、トランプ大統領もそういう人たちと全く同じ人種であるおそれが言葉の端々から伺えるように思います。

 普通に考えれば北朝鮮に対して武力行使をすれば、北朝鮮による通常兵器の報復だけでソウルの人々の命が100万人単位で失われ、経済的にも大打撃を被ることは間違いないのだと思います。また、核攻撃があると考えれば、今の段階で韓国、日本、場合によっては中国、グアムやハワイへの核ミサイル攻撃の可能性は完全には否定できません。それを100%抑えることが可能ならば、アメリカ本土、ワシントンやニューヨークに届くミサイルが完成しても射たれる前に処理することも可能と考えるべきで、それができないからアメリカも現在までの言動になったいるのだと思います。つまり、北朝鮮への武力行使を実施した場合、周辺国への被害を100%抑えることは不可能と言っていいのだと思います。

 奇跡的に周辺国への被害が全くなく戦争を終えることができたとしても、指導者を失った北朝鮮の人々が中国、韓国、日本、ロシアに難民として大挙して渡ってくることは確実で、その数はおそらく百万単位になるのではないかと思います。その中には武装難民が含まれていることも十分に考えられて、大混乱に陥ることは間違いないのだと思います。

 しかし、アメリカは戦争の見通し、戦後の混乱のおそれを過小評価する傾向があります。イラク戦争の時も戦後統治が失敗し、隣国を巻き込んだ内戦が起きるおそれがあることを多くの識者が指摘していたにもかかわらず、戦争に踏み切り、戦後統治に失敗したことで、内戦の末イスラム国の台頭を許すという事前の予想以上の最悪の結果をもたらしたという経緯があります。

 今回の訪日でもトランプ大統領は北朝鮮がミサイルを発射した時に日本がそれを迎撃すべきだったと発言しましたが、もし迎撃に失敗した時の抑止力の低下や、迎撃したミサイルの破片による事故、むやみに北朝鮮を刺激して戦争状態になっても日本は戦争ができる国ではないという状況を一切理解していないのは間違いないのだと思います。

 トランプ大統領が自分たちに都合のいい極めて楽観的な予測に基づいて武力行使に踏み切り、大惨事になるおそれは完全に否定することはできないのではないかと思います。

 のぞみは薄いのかもしれませんが、なんとか金正恩氏が完全に降伏して、核の放棄を決意することを祈らざるを得ないと思っています。
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天皇、皇后両陛下のフィリピンご訪問

 フィリピンをご訪問された天皇、皇后両陛下は27日、先の大戦で亡くなった現地の人たちをまつる「無名戦士の墓」で祈りを捧げられました。

「先の大戦においては、日米間の熾烈な戦闘が貴国の国内で行われ、この戦いにより、多くの貴国民の命が失われました」。昨年6月、来日したアキノ大統領を迎えた晩餐会で、天皇陛下はそう言及され、「私ども日本人が深い痛恨の心と共に、長く忘れてはならないこと」と語られました。

 フィリピンでは、50万人の日本兵の命が奪われ、フィリピン人は110万人の命が奪われました。その大きな理由の一つには、日本軍は最も重要な兵站の計画を放棄し、すべてを現地調達する方針を取ったために、兵士は十分な食事もできず、ただでさえ食料が不足しているフィリピンの国民から食料を奪うことで、栄養失調から亡くなられた方々も多くいると言われています。

 1953年7月キリノ大統領が議会での承認を必要としない特赦で日本人戦犯を釈放、減刑した背景には、冷戦の世界情勢や日本との賠償交渉の行き詰まりなどの理由があると言われていますが、キリノ大統領自身、妻や子供3人、親族を5人日本兵に殺されています。しかし、「ここで憎しみの連鎖を断ち切らなければ、もう一度同じ悲劇が繰り返されてしまう」との思いから、自らの責任だけで特赦に踏み切りました。

 このことは恥ずかしながら私は知りませんでしたし、絶対に忘れてはならないことだと思います。本当に立派な人であればあるほど、人から施された恩を忘れないものなのだと思います。日本人の多くがそうであってほしいと私は願います。

 戦前の日本の軍部は、本当に恥ずかしい組織で、物量、技術で全く勝ち目のないアメリカに対して、情報戦でも全く話になりませんでした。兵站を無視したのはフィリピンだけではなく、起死回生を目指したインパール作戦でも兵站の計画を立てずに、歴史に残る大敗を喫しました。

 戦後70年で日本の政府は変わったのかといえば、行政では官僚の天下りのための政策ばかりが優先され、非合理的で無駄な政策が相変わらず実施されています。東日本大震災でも、緊急時にも関わらず、平時の規制がそのまま適用されたり、復興予算もわけのわからない東北以外の地域で湯水のごとく使われたりで、未だに傷痕が残っているところが多く見られます。原発事故でも、都合の悪いことは隠そうとし、未だに収束とは程遠い状況が続いています。

 これでまた日本が戦争ということになれば、戦前よりもひどい状況になることは目に見えていて、その犠牲になるのは我々や、子供たちや孫たちであることを私たちは決して忘れてはならないのだと思います。

 歴史を学ぶ目的は、同じ間違いを繰り返さないということが最も大きな目的なのだと思います。

 軍部の人たちは、多くの兵士が食事もできずに命を失っている中でも、おいしいものをたらふく食べているというシーンが「天皇の料理番」でもありました。昭和天皇は国民と同等の食事をされて、決して裕福な生活は送られていませんでした。

 今上天皇も、物心がついたときには既に戦争が始まっていて、子供の頃からずっとひもじい思いをされていたとお話されていました。そして、終戦直前には、昭和天皇を暗殺するクーデターの首謀者に祭り上げられる寸前だったということです。

 その天皇陛下が、先の大戦の悲劇、日本とアメリカの戦いの中で、多くのフィリピンの方々の命が奪われたことを決して忘れてはならないとおっしゃられているわけですから、このことは絶対に忘れてはなりませんし、子供たちにも伝えていかなくてはならないのだと思います。

 安部総理は子供たちに背負わせてはいけないと言いますが、私は全く逆で、子供たちを守るために、同じ間違いを繰り返さないために、国際社会の中で恥ずかしい思いをさせないために、前大戦のことはしっかりと後世に伝えるべきだと思っています。

 「良薬は口に苦し」と言いますが、耳障りの悪いことでもしっかりと耳を傾けることで、日本の繁栄が守られるということを多くの人に認識していただきたいと思っています。

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