2016/05/31
アベノミクスが失敗して、消費税の増税ができなかったのではなかったのかという論調がありましたが、アベノミスクよりもむしろ8%への消費増税自体が経済を弱め、デフレ脱却の大きな足枷になったことは誰の目にも明らかなのだと思います。
前回消費税を5%にしたときは逆に歳入は下がりましたが、その理由は韓国の通貨危機と言われました。しかしその後、韓国の通貨危機が過ぎ去っても歳入は十分に回復せず、国の負債は雪だるま式に膨れ上がっていきました。これは、韓国の通貨危機が日本の歳入を押し下げたのではなく、消費増税自体が、日本の経済を長期にわたって圧迫し続けたと考えるほうが自然なのだと思います。
2014年に消費税を8%にしましたが、当時金融緩和が功を奏していて、経済にマイナス要因はありませんでしたが、日本は予想をはるかに超えたマイナス成長を見せました。そして現在、主要国を見ても日本だけが成長率が1%台と落ち込んでいます。原油安や、中国の景気減速といったマイナス要因はあるものの、同じ条件である他の主要国に比べて経済成長が著しく鈍化しているのは、2014年の消費増税以外に要因が見当たりません。
社会保障を安定財源である消費税で全て賄うということですが、そのようなことをしようとしている国は世界で日本しかありません。社会保障だけが財源がなければ無責任という風潮がありますが、防衛費、公共事業、他にも明らかに時代遅れで何度も不必要という判断が下された予算がゾンビのごとく蘇っても、その予算に財源が確保されているかどうかは一切言及されません。これは摩訶不思議としか言いようがありません。
社会保障は財政の一部であって、社会保障だけが安定していも、ほかの歳出が財政を圧迫すれば、日本が危機的状況に陥ることは避けられません。財政の健全化は、社会保障も含めてプライマリーバランスが黒字化すればいいので、あえて消費税で社会保障を賄うというダブルスタンダードにする必要はないのだと思います。
財政再建は、経済政策、金融政策、規制緩和、構造改革などで行うべきで、消費税を上げるという安易な選択をすれば、経済を長期にわたって圧迫し、これらの政策のベストミックスが効果を示さないというおそれの方が高いのだと思います。
日本の経済はまだまだ成長します。様々な危機を乗り越え鍛えられてきた日本の技術はニッチといってよく、ほかの国が簡単に真似できることではありません。新興国とは市場があまり重ならず、しかも新興国が日本の新しい市場となるので、日本の経済成長の可能性は十分にあるのだと思います。
経済はいきもので、日本は成長しないから増税しますというのは自殺行為なのだと思います。一度経済が死んでしまえば、取り返しのつかないことになるのは目に見えています。消費増税は延期ではなく凍結にし、経済成長による税収増で財政再建を実現するというのが唯一の正解なのだと思います。