2015/07/24
君子豹変と言いますが、私は君子ではありませんが、私の主張を大きく変えたいと思います。日米安保に関して、私は大きく誤解をしているところがありました。
外務省がまとめた日米安全保障条約(主要規定の解説)の第3条を見ると、
第3条
この規定は、我が国から見れば、米国の対日防衛義務に対応して、我が国も憲法の範囲内で自らの防衛能力の整備に努めるとともに、米国の防衛能力向上について応分の協力をするとの原則を定めたものである。
これは、沿革的には、米国の上院で1948年に決議されたヴァンデンバーク決議を背景とするものであり、NATO(北大西洋条約機構)その他の防衛条約にも類似の規定がある。同決議の趣旨は、米国が他国を防衛する義務を負う以上は、その相手国は、自らの防衛のために自助努力を行ない、また、米国に対しても、防衛面で協力する意思を持った国でなければならないということである。
ただし、我が国の場合には、「相互援助」といっても、憲法の範囲内のものに限られることを明確にするために、「憲法上の規定に従うことを条件」としている。
とあります。戦後日本はソ連という軍事大国が隣にあり、米軍が日本に駐留することで、そのことが抑止力となり、武力による領土拡大の強烈な野望がある大国から守られていたのは間違いないのだと思います。
当時は、アメリカもソ連と対峙し、共産主義の拡大を止めるという大きな目的があり、日本の憲法はアメリカが作ったという負い目もあったために、応分の軍事的な協力がなくても日本を守っていたのだと思います。相互援助ということを考えると、基地の提供だけでソ連と戦うということは全く割が合わず、日本を守るために、多くのアメリカ人が死ぬ可能性もありますし、アメリカの本土に核攻撃があることも考えられたのだと思います。
しかし、冷戦の時代にはそれでも日本を守る意味は大きく、両国の国益は上手く釣り合っていたとも言えたのだと思います。
そしてソ連が崩壊することで冷戦が終わり、北朝鮮が核を持つ時代になると、ロシアは相分からず日本の領空を侵害続けている上に、北朝鮮の脅威も加わってきます。日本は更にアメリカの庇護が必要になる一方で、アメリカは日本を守るモチベーションが著しく低下していきます。そこで、ロシアと北朝鮮から日本を守る代わりに、基地供与とともに周辺有事の際に、憲法の範囲内での後方支援を要請したのだと思います。それでも、そこで日本とアメリカの負担の大きさは、決して釣り合ってはいませんでしたが、アメリカは日本を守り続けたのだと思います。
そして最近になって、ロシアと北朝鮮は相変わらずである上に、中国の拡大主義が顕著になってきて、中国からも日本の領土を守る必要が出てきました。そこで、今回18年ぶりの日米ガイドラインの改訂で、中東・ホルムズ海峡や南シナ海など海上交通路での機雷掃海、強制的な船舶検査などが加わりました。正直に言って、それでも日米の負担の格差は縮まったとは言えないのだと思います。
ロシア、北朝鮮、中国の好戦性や、領土拡大の意欲は、最近の行動でさらに明らかになています。この3国に対して、日本一国で対応することは絶対に不可能なのだと思います。
アメリカは一国で成り立つほど強大な国で、日本を守る義務はありません。日本を守ることで多額な予算を計上する必要がありますし、アメリカの兵士が戦死することもあるかもしれませんし、アメリカの本土に直接攻撃を受ける可能性もあります。それに対して、日本の非常に少ない軍事的な貢献で日本を守り続けています。
そう考えると今回の安保改正案は、どうしても通さなくてはならない法案とも言えるのだと思います。
ロシア、中国、北朝鮮がどれだけ強大な軍事力を持ち危険な行動をしているのか、それらの国からアメリカが日本を守るために、どれだけの覚悟をしているのか、もっと丁寧に説明する必要があるのだと思います。
根本的な説明不足と、戦前回帰と疑われる動きが多過ぎることが、今回の法案の理解が進まない大きな原因なのだと思います。
日本人は馬鹿ではありません。アメリカの覚悟にどれだけ応えられるのかという法律なのだと思います。そして、自民党も、自らの目的をこのような大切な事項に絡めるのはやめていただきたいと思います。
戦争になれば自衛隊の方々だけでなく米軍の兵士も戦死に追いやることになります。安全保障というハードの面を整えながらも、中国と絶対に戦争にならないような外交に、最も力を入れていただきたいと思っています。