2015/11/26
大阪維新の会が、知事、市長とも勝利したのは、橋下徹氏が地方自治から引退したことが大きかったのではないかと思います。
もともと大阪府民の大部分は大阪都構想に反対ではなかったように思います。当時は、安保法制の審議の真っ只中で、都構想が住民投票で可決されてしまうと、橋下氏の勢いが増し、次の参院選後に一気に憲法改正の流れが強まることをおそれた大阪府民が、反対に回ったのではないかと私は思います。
今回は、維新が分裂し、大阪維新の会の地方政権の色合いが以前よりも濃くなることで、大阪維新が勝利しても憲法改正の流れには直接影響はないと考えた府民が、以前の放漫経営の府政に戻ることをおそれて維新の会を支持したとも言えるのだと思います。
しかし、一方では、大阪維新が強かったというよりも、自民党が共産党と組むことで、自民、共産双方の支持を失ったと指摘する人もいますし、何より公明党が中立を決め込んだことが大きかったとも言えるのだと思います。
松井氏が与党と連携を模索するおおさか維新が、これで次の参院選で勢いを増すということは考え難いのだと思います。もともと大阪の人は平和志向の人が多く、自民党ではなく、以前の公明党やタレント議員が圧勝する地域で、次の参院選では、今回の知事選や市長選とは違った結果になるのではないかと思いますし、期待したいと思っています。
しかしながら、今回の選挙の結果を受けて、次の参院選の争点は憲法改正にならざるを得なくなったとも言えるのだと思います。自公が苦戦を強いられても、おおさか維新の議員数を加えることで、改憲派が参院で3分の2以上を確保する公算がかなり高まったと言えるのだと思います。
今回の安保法制で多くの国民が反対したことを受けて、憲法改正には踏み切らないのでないかという空気が流れているような気がしますが、そんなことはないのだと思います。
いきなり憲法9条の改正ということにはなりませんが、両院で3分の2以上の賛成がなければ憲法改正の発議ができないという96条が改正されるおそれは十分にあるのだと思います。
これは、ある意味では憲法9条の改正よりも恐ろしくて、国民の権利や、権力を抑制する条項も簡単に改正発議ができるようになってしまうことを意味します。
そんな憲法の改正が国民投票で通るはずがないと私も信じたいのですが、安全保障の一貫としての憲法の改正ということになると、賛成に回る人もかなり出てくるのではないかと思います。
特に中国との小競り合いのようなものでも続いた時には、基本的人権に関する条項であっても改正の対象になるおそれは否定できません。
今の自民党は、現行の憲法を尊重する意識は少しもないように思います。そして、現行の憲法の範疇でも権力の強化に余念がありません。
憲法が変わってしまえば、戦前の日本に限りなく近い国家になるおそれは否定できないのだと思います。
今の政府に国家の行く末や、私たちの命を預けられるのか、大切な時に、国家国民のために適切な判断ができるのか、今までの彼らのしてきたことを思い返していただきたいと思います。次の参院選では、権力に対するできる限りの足枷を維持するべきという判断を多くの人にしていただきたいと思っています。