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天皇、皇后両陛下のフィリピンご訪問

 フィリピンをご訪問された天皇、皇后両陛下は27日、先の大戦で亡くなった現地の人たちをまつる「無名戦士の墓」で祈りを捧げられました。

「先の大戦においては、日米間の熾烈な戦闘が貴国の国内で行われ、この戦いにより、多くの貴国民の命が失われました」。昨年6月、来日したアキノ大統領を迎えた晩餐会で、天皇陛下はそう言及され、「私ども日本人が深い痛恨の心と共に、長く忘れてはならないこと」と語られました。

 フィリピンでは、50万人の日本兵の命が奪われ、フィリピン人は110万人の命が奪われました。その大きな理由の一つには、日本軍は最も重要な兵站の計画を放棄し、すべてを現地調達する方針を取ったために、兵士は十分な食事もできず、ただでさえ食料が不足しているフィリピンの国民から食料を奪うことで、栄養失調から亡くなられた方々も多くいると言われています。

 1953年7月キリノ大統領が議会での承認を必要としない特赦で日本人戦犯を釈放、減刑した背景には、冷戦の世界情勢や日本との賠償交渉の行き詰まりなどの理由があると言われていますが、キリノ大統領自身、妻や子供3人、親族を5人日本兵に殺されています。しかし、「ここで憎しみの連鎖を断ち切らなければ、もう一度同じ悲劇が繰り返されてしまう」との思いから、自らの責任だけで特赦に踏み切りました。

 このことは恥ずかしながら私は知りませんでしたし、絶対に忘れてはならないことだと思います。本当に立派な人であればあるほど、人から施された恩を忘れないものなのだと思います。日本人の多くがそうであってほしいと私は願います。

 戦前の日本の軍部は、本当に恥ずかしい組織で、物量、技術で全く勝ち目のないアメリカに対して、情報戦でも全く話になりませんでした。兵站を無視したのはフィリピンだけではなく、起死回生を目指したインパール作戦でも兵站の計画を立てずに、歴史に残る大敗を喫しました。

 戦後70年で日本の政府は変わったのかといえば、行政では官僚の天下りのための政策ばかりが優先され、非合理的で無駄な政策が相変わらず実施されています。東日本大震災でも、緊急時にも関わらず、平時の規制がそのまま適用されたり、復興予算もわけのわからない東北以外の地域で湯水のごとく使われたりで、未だに傷痕が残っているところが多く見られます。原発事故でも、都合の悪いことは隠そうとし、未だに収束とは程遠い状況が続いています。

 これでまた日本が戦争ということになれば、戦前よりもひどい状況になることは目に見えていて、その犠牲になるのは我々や、子供たちや孫たちであることを私たちは決して忘れてはならないのだと思います。

 歴史を学ぶ目的は、同じ間違いを繰り返さないということが最も大きな目的なのだと思います。

 軍部の人たちは、多くの兵士が食事もできずに命を失っている中でも、おいしいものをたらふく食べているというシーンが「天皇の料理番」でもありました。昭和天皇は国民と同等の食事をされて、決して裕福な生活は送られていませんでした。

 今上天皇も、物心がついたときには既に戦争が始まっていて、子供の頃からずっとひもじい思いをされていたとお話されていました。そして、終戦直前には、昭和天皇を暗殺するクーデターの首謀者に祭り上げられる寸前だったということです。

 その天皇陛下が、先の大戦の悲劇、日本とアメリカの戦いの中で、多くのフィリピンの方々の命が奪われたことを決して忘れてはならないとおっしゃられているわけですから、このことは絶対に忘れてはなりませんし、子供たちにも伝えていかなくてはならないのだと思います。

 安部総理は子供たちに背負わせてはいけないと言いますが、私は全く逆で、子供たちを守るために、同じ間違いを繰り返さないために、国際社会の中で恥ずかしい思いをさせないために、前大戦のことはしっかりと後世に伝えるべきだと思っています。

 「良薬は口に苦し」と言いますが、耳障りの悪いことでもしっかりと耳を傾けることで、日本の繁栄が守られるということを多くの人に認識していただきたいと思っています。

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甘利氏の辞任に関して

 私は甘利氏に関しては、安部総理と同様、非常に複雑な感情を抱いています。

 安部総理は、日本のものづくり、日本の経済を救った救世主である一方で、戦前をどこまで肯定しているかわからず、日本を戦前に戻そうとしてるとしか思えない、最も警戒している人物でもあります。

 甘利氏は、安部総理と同様の思想の持ち主だと思うのですが、アベノミクスを支え、推進してきた安部総理の盟友という点では、非常に高く評価しています。

 また、今回の騒動に関しては、安部総理から「内閣支持率が10%落ちても残って欲しい」という強い遺留があったにもかかわらず、自らの美学を貫き潔く辞任した姿は、驚きと共に人間としての美しさすら感じました。

 しかしながら、この問題は、大臣を辞任して済むという問題ではないと思います。小渕議員や松島議員も政治資金規正法や公職選挙法違反が明らかであったにも関わらず、裁判にすらなっていないというのは、政治権力の腐敗を防ぐという意味で、あってはならないことだったと思います。

 今回は、斡旋利得罪の疑いもあるということで、法定で白黒はっきりつける必要があります。

 今回このような大きな事件であるにもかかわらず、東京地検の動きが鈍いとうことに不信感がありましたが、東京地検のトップは法務大臣で、その上に総理大臣がいるということで、容易に動くことはできないそうです。

 東京地検が動くには、マスコミと世論の後押しがない限りこの件を捜査することはできないそうです。

 この件がうやむやになれば、このあとも、大臣になれば建設会社から直接お金をもらっても、そこで口を利いても、罪にはならないという前例を作ることになってしまい、権力の腐敗をさらに加速させてしまう恐れが十分にあります。

 この件に関しては、ここで幕引きということにならないように、引き続き注目し続けたいと思っています。

 

 

北方領土の問題と平和条約は別々に交渉すべき

 プーチン政権は、ロシアの北方領土支配は「第2次大戦の結果」という立場を主張し、平和条約の締結は「国連憲章に定められている通り第2次大戦の結果を認めることなしには、前進は不可能だ」としています。

 これは当然受け入れることはできませんが、逆の意味で、日本側の「平和条約交渉はすなわち北方領土交渉」というスタンスは、北方領土問題の解決の大きな障害になっていると思えてなりません。

 これは、元外交官の佐藤勝氏も主張していますが、一島ずつ返還交渉をしていれば、既に解決している問題なのではないかと私も思います。

 北方領土の返還交渉が全く進まないのは、日本の北方四島の領有権を認め、一括返還がなければ平和条約の締結はないということにこだわってきたためで、様々なチャンスをすべて失ってきているのだと思います。

 平和条約にこだわる必要もありませんし、条約締結の際に、北方領土の領有権や返還を交渉継続という形にしてもよかったのだと思います。

 ロシアは日本の経済援助が欲しいわけですから、経済援助をするたびに一島ずつ返してもらえれば、とっくの昔にこの問題は解決していたように思えてなりません。

 一括ということでは、ロシアとしても承諾することは難しい上に、日本としても住民やロシアに対する補償を一括で支払うことは難しいのだと思います。

 両国にとって無理なことを無理やり成立させようとしても、無理なものは無理としか言いようがありません。

 平和条約と北方領土の問題は、別々に交渉するべきだと思います。今は平和条約を棚上げし、まずは一島だけの返還とそれに見合う経済援助という交渉から始めるべきだと思います。平和条約がなければ、経済援助ができないということであれば、北方領土の帰属は継続して交渉するという一文を加えれば済むことなのだと思います。

 それが、北方領土問題を解決する唯一の方法であり、確実に解決するために日本がとるべき道だと思うのですが、どうでしょうか。

日本も国際社会と同等の金融政策に対する常識を

 金融緩和に対してなにか反則のイメージがあるメディアがありますが、決してそんなことはないのだと思います。

 2008年のリーマンショックは、1929年の大恐慌以来の世界恐慌、しかも当時の恐慌とは比べ物にならないほどの規模になった可能性があって、なにもしなければ、おそらくヨーロッパの複数の国が破綻していたおそれも十分にあったのだと思います。

 それを食い止めたのが、FRB(連邦準備 制度理事会)とECB(欧州中央銀行)による、日本とは比較にならないほどの大金融緩和であったことは誰も否定する人はいないのだと思います。もし、こういったオペレーションが一切行われていなかったならば、日本もどうなっていたかわかりません。

 一方日本では、そのような金融緩和が一切行われていなかったために、リーマンショックの引き金となったサブプライムローンの影響が最も低いと言われていたにも関わらず、先進国のなかでも、かなりの不況に苦しむことになりました。

 中央銀行にとって紙幣の増刷や、市中の国債の積極的な買取りによる金融緩和は、禁じ手などではなく、金融政策の一環であって、副作用はあるにせよそのこと自体が批判されることは国際社会ではありません。

 民主党政権時に、為替介入を行った場合には批判の対象になりましたが、それよりもはるかに円安に誘導する金融緩和に対しては、むしろ世界経済のプラスにもなるということで、国際社会から歓迎されました。(今は多少の批判は特にドイツからあります。)

 金融政策というのは『政策』であって、日本銀行の独立性は保たれなければならない一方で、日本の経済を守り発展させる上では、政治が全く関与しなくていいということではないのだと思います。

 金融政策を経済維持の手段として放棄してしまえば、大きな武器を失うことになり、政治が全く関与しないということになれば、それは政治の怠慢の謗りを受けてもし仕方がないのだと思います。

 日銀の独自性を保ちながら、適切な金融政策が採られることを望むのであるならば、FRBのように、日銀に就業率維持の責任を持たせる日銀法改正が必要なのだと思います。

 日本には、国際社会と同等の金融政策に対する常識を持って欲しいと心から願っています。

甘利大臣の金銭授受の問題

 甘利大臣の金銭授受の問題は、謎な部分が多いと言わざるを得ません。金銭授受の証拠の写真や録音があるということですが、一体何の目的でこのようなことを行ったのか、その動機が判然としません。

 このようなことを公にすれば、自分も有罪になる可能性が高く、甘利大臣側も会社側も自分も誰も得をする人がいないのではないでしょうか。

 ひとつ考えられるのは、最初から甘利大臣を、金銭か何らかの目的で脅迫をしたけれども、甘利大臣側がその要求を無視したために自爆的に行ったという線が考えられますが、結局は誰も特をしないという結果には変わりがありません。

 第一次安倍政権の時には、行政改革に積極的だった安倍内閣に大きな打撃を与えるために、厚生労働省が年金問題を自爆的に起こしたということが実際に言われています。

 今回も、安部総理は、財務省の反対を押し切って金融緩和を断行し、消費増税の延期を強引に決めました。自民党の内部にも、官僚側にも面白く思っていない人は大勢いるのだと思います。

 その上、衆参同日選挙の目玉として、もう一度消費増税の延期を打ち上げる可能性は十分にあるということで、安倍内閣に打撃を与えたいと考えている政府内部の勢力があることは間違いないのだと思います。

 しかし、安部総理本人や、菅官房長官のガードが硬いため、比較的陥れやすく、安倍政権の大打撃となる人物として甘利大臣に白羽の矢が立ったということも、前回の年金問題の例からすると、考えられなくもないのかもしれません。単なる陰謀説として一笑に付されるのかもしれませんが、この事件でいったい誰が得をするのか考える必要はあるように思います。

 また、このような大きな問題に対して東京地検の動きも鈍いということも少し気にかかります。

 どのような展開になるのか、成り行きを見守りたいと思います。

 

原油安がロシアに与える影響

 世界同時株安の大きな原因や、日本の株式の大幅な下落の直接的な原因の一つとして、原油安が挙げられています。

 原油の価格が下がることで、原油の産出国の財政が逼迫し、世界のさまざまな企業に投資をしていた所謂「オイルマネー」が世界の株式市場から引き上げられていて、それは日本の株式市場でも例外ではないと言われています。

 このような原油安の状況が世界経済に悪影響を及ぼしているなかでも、アメリカはシェールオイルの輸出を開始し、さらなる原油安に拍車をかけようとしています。これにはロシアに対する経済的な圧力を強める狙いがあるのではないかと言われています。

 昨年の7月にアメリカとキューバが64年ぶりに国交を回復しましたが、これも原油安が大きく影響していると言われています。

 キューバは、ベネズエラからの支援を受けることでなんとか国家を保っていられましたが、ベネズエラの収入は原油によって支えられていて、急激な原油安の影響から歳入不足に陥り、キューバへの支援ができなくなりました。そこでキューバは、アメリカと国交を回復する以外の選択肢がなくなったと言われています。

 ロシアも、歳入の4割程度を原油の収益に頼っていて、欧米からの経済制裁も相俟って、経済的にかなり厳しい状況に追い込まれています。

 アメリカは、ロシアを経済的に追い込むことで、ウクライナの問題の解決の糸口にしようとしているのではないかと考えられています。

 原油安が、日本の経済にも直撃し、株式に投じられた年金もおそらく10兆円近く失われていると思いますが、これをロシアの拡張主義を少しでも抑えられる好機にできることを心から望んでいます。

とりあえずSMAP解散騒動に終止符

 SMAPに対してはペナルティなしということでこれで一件落着ということなのだと思います。さすがにSMAPのファンのみならず多くの国民を敵に回せば、ジャニーズ事務所といえども無事では済まないということがわかったのだと思います。

 本来であれば、飯島さんに関してもジャニーズ事務所に残って、今までどおりの仕事をして、派閥ということではなくて、ジュリーさんのコースと飯島さんのコースと二通りの道を提供することで、ジャニーズのタレントさんにとっても、ジャニーズのファンの人にとっても、様々なニーズに応えられる事務所になることができたのだと思うのですが、これは外からどうこうできることではないので、非常に残念としか言いようがありません。

 巷では、木村さんと中居さんの関係悪化のことが取り沙汰されていますが、全く心配はないと思います。

 もともと二人はそんなに仲がいいとうわけではありませんが、同じ道を歩んできた所謂家族のようなもので、夫婦でも兄弟でも喧嘩をすることは当たり前のことなのだと思います。

 実際には、中居さんには中居さんの言い分があって、自分は間違っていないという思いもあって、言いたいこともたくさんあるのだと思いますが、それを木村さんが、SMAPのほかのメンバーのために、また、ファンのため、心配している多くの人のために、ぐっとこらえて飲み込んでくれと強く言っているだけなのだと思います。

 これらの真相はおそらく明かされることはないのだと思いますが、いつか笑い話にできるようになった時に、飯島さんを主役にしてドラマや映画にいてもらえるといいなと思います。

 SMAPのメンバーは辛い思いをしたと思いますが、これからも私たちを楽しませてくれる国民的スターのSMAPでいてくれることを心から望んでいます。

木村拓哉さんは、決して保身や打算の人ではない


 木村さんは、CM一本のギャラが1億円と言われ、そのCMが十数本あるので、CMだけで10億円以上稼いでいると言われています。しかし、今はわかりませんが、以前「どんなに視聴率が出ても給料制なので自分には全く関係がない」ということを公の場で発言したことがあって、おそらく木村さんの収入はCM収入の10分の1もないのではないかと思います。そのことから、最近まで毎年のように木村さんの独立が取り沙汰されていました。

 そのような噂はずっとありましたが、私は木村さんは絶対に独立はしないと確信していました。それは、ジャニーさんの恐ろしさを木村さんが一番よく知っているということもあるのかもしれませんが、それよりも、木村さんは、恩を忘れない人、仲間を大切にする人、後輩を大切にする人で、自分が独立することで会社や後輩にも少なからず影響があるということを十分に理解していたのではないかと思います。

 木村さんはお金よりも大切なことがあるということを自分の行動で示してきた人なのだと思います。もしも今回木村さんが保身や打算で大恩人やメンバーを裏切るということをすれば、今までの人生や、「木村拓哉」という人格そのものを自ら否定することになるのだと思います。

 先日の生放送の謝罪の中で、「空中分解」という言葉が使われましたが、メンバーが互いを信じられなくなりバラバラになるという意味もあったのだと思いますが、一部では4人のメンバーが芸能界から抹殺されるという意味だったのではないかと言われています。

 木村さんは、大恩人を裏切り、4人のメンバーを裏切ったという汚名を着せられることも覚悟の上で、4人のタレント生命、4人の人生を守るために行動したのではないかと私は思っています。

 10月以降は、木村さんだけが活動し、そういった風評が増えていくおそれは十分にありますが、時が経てばそういった誤解も晴れていくと確信しています。

 この騒動はこれで幕引きなのか、ここから更なる展開があるのかわかりません。公にはジャニーズ事務所側からの情報しか流れないので、真相が明かされることはないのかもしれません。

 独立をしようとした4人も、お金の問題でも自分自身のためでもなく、大恩人の飯島さんがジャニーズ事務所から追いやられるような形で退職することに対する義憤からの行動だったのだと思います。

 私自身は、SMAPのために何ができるのか分かりませんし、何かをすればいいのか、もしくは何もしないほうがいいのかということすらわかりません。

 しばらくは様子を見守って、SMAPのために何か出来ることがあるならば、全くの微力でも出来る限りのことをしていきたいと思っています。

スマップ解散騒動と今後のあるべき姿

 スマップ解散については全く寝耳に水で、どういうことなのか全くわかりませんでしたが、Infoseekの大方 草さんの記事で、どうしてこんなことになったのか、その全貌がわかりました。http://news.infoseek.co.jp/article/litera_3648/?p=1(是非とも参照してください)

 スマップ解散の首謀者として名前が挙げられている飯島三智さんは、ジャニーズ事務所の中で飼い殺しになっていたスマップをたった一人の営業力と企画力で助けただけではなく、光ゲンジ解散後、傾きかけていたジャニーズ事務所を再興した、ジャニーズ事務所にとっても大恩人であるということがわかりました。

 ジャニーズ事務所は飯島さんを辞めさせたら、間違いなく何らかの報いがあるのだと思います。社会というものは本当に甘くなく、功績のある人を蔑ろにすれば、今どんなに隆盛を極めていても、会社自体が傾くおそれは全く否定できません。今のジャニーズがあるのは、大方さんが記事の中で述べているように、飯島さんとスマップのおかげであることは、業界の人や私たち国民の目から見ても明らかなのだと思います。

 ジャニーズ事務所は、飯島さんもスマップも絶対に失ってはならないと思います。この問題を解決できるのは、私はジャニーさんしかないのではないかと思います。ジャニーさんがうまくまとめて、ジャニーズ事務所もスマップも、今まで以上にさまざな分野で活躍できることを心から願っています。

憲法改正で安全保障は強化されるのか

 次回の参院選で改憲勢力が3分の2以上になった場合、憲法96条の改正が発議されるのは間違いないのだと思います。

 そして、時期を見て憲法9条の改正も試みられると思うのですが、おそらく領空、領海における中国との小競り合いで自衛隊員が殉職した時なのではないかと私は予想しています。その場合、中国に対する怒りで国民投票で過半数になる公算も十分にあるように思います。

 果たして、憲法9条を改正することで、日本の安全保障は強化されるのでしょうか。

 日本の安全保障は、日米同盟に基づくアメリカのプレゼンスに大きく依存していて、日本の自衛隊の役割は、日米安保条約を機能させ、アメリカのコミットメントを強く引き出すことが最も大きな役割なのだと思います。

 2013年11月の防空識別圏の問題も、アメリカが2機の爆撃機を長時間飛行させることでほとんど報道されることはなくなりました。それまで尖閣に対する領海侵犯の問題も多発していましたが、今ではほとんど報道されることはありません。

 日本に対しては、中国は強気で挑発的なアプローチをしてきますが、アメリカに対しては、腫れ物に触るような対応をし、南沙海域において米軍が「航行の自由作戦」を展開しても、小競り合いすら起きていません。ここに自衛隊が関与するとなると緊張が一気に高まることがわかっているのか、アメリカも日本の関与を強く要請することはありませんし、日本も南沙海域における哨戒活動の計画すらしていないように思います。

 日本を取り巻く極東における安全保障は、ほぼアメリカが握っていて、日本と中国、ロシアの間では、常にスクランブルがかけられるような状態である一方で、決して戦争には至らない安定した状態がもたらされています。

 日米安保条約では、アメリカが日本を守る条件として、自助努力と、アメリカに対する軍事協力が求められていますが、そこには「憲法の範囲内」という規定があります。

 欧米は契約社会で、条約は国と国との契約なのだと思います。これを破れば国家の信用を一気に失い、国際社会における国の威信も失墜するのだと思います。

 アメリカはこの条約に基づき、日本を守るということを常に明言しています。尖閣においても「日本国の施政の下にある領域」での武力攻撃について、日本と米国が「共通の危険に対処するように行動することを宣言する」という日米安保第5条の適用範囲であることことを明言し、中国が設定した防空識別圏に威嚇行動として爆撃機2機を長時間飛行させました。

 この日米安保によって、日本の軍事費は非常に少なくて済むという側面も当然あるのですが、何よりも、感情的になりがちな日中の間に強力な軍事力を誇るアメリカが間に入ることで、日本一国で国防に当たるよりも、はるかに安定した状態を保つことができているということが最も大きいのだと思います。

 もしも、憲法9条を改正した場合に、日本ができることがはるかに増えることで、日米安保で求められる自助努力の要請も極端に増え、その分アメリカの役割が減少するおそれは否定できません。

 日本と中国が軍事的に接触する機会も今よりも増えて、小競り合いでのアクシデントから大きな武力衝突に至るということも今よりもはるかに増える危険性があります。

 憲法9条の改正に伴い、日本の自衛の範囲が増えることは、財政的にも安全保障そのものにもプラスになるとはどうしても思えません。

 感情や観念的ではなく、極東における中国の対応の仕方など現実を直視することで、日本の安全保障のあり方を多くの人に適切に判断していただきたいと思っています。
 

 

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