2016/03/21
横畠裕介内閣法制局長官は18日の参院予算委員会で、核兵器の使用は憲法違反に当たるのかとの質問に対し「わが国を防衛するための必要最小限度のものに限られるが、憲法上あらゆる種類の核兵器の使用がおよそ禁止されているとは考えてない」との見解を表明しました。同時に「海外での武力行使は必要最小限度を一般的に超えると解している」と述べ、現実的ではないとの見方も示しました。
このような見解は、今に始まったことではなく、歴代内閣法制局が踏襲してきた見解であって、大きく騒ぎ立てるほどのことではないと思います。
しかしながら、実際に核を保有するということになると、大きな問題が二つ起き、全く現実的ではないどころか、安全保証上の危険を増大させるおそれもあるのだと思います。
まず一つ目には、日本が世界で唯一の被爆国であるということです。被爆国である日本が核保有国になることで、堰を切ったように核拡散の流れが一気に高まり、ロシア、中国、北朝鮮のみならず、予想していたかった国からの核攻撃も想定せざるを得なくなるということも十分に考えられると思います。
そしてもう一つには、核ミサイルを1発保有したところで、核の抑止力にはならないということは考えておくべきだと思います。
たとえば中国やロシアから核攻撃があった場合、こちらからミサイルを放ったとします。核ミサイルを使い果たした日本には、雨あられのごとく核ミサイルが飛来し、日本は一瞬で壊滅状態となることは目に見えています。
抑止力として核を保有するのであれば、少なくとも中国やロシアを一瞬で壊滅させるだけのミサイルを保有する必要が有り、その開発や維持のために、戦争が起きる前に日本は破綻してしまいます。一気に破綻することはなくても、削減しやすい社会保障が一気に削られ、やがて破綻を迎えるのは確実なのだと思います。
ですから消去法として、日本は日米同盟を維持し、自ら核兵器を保有しないという選択肢しかないのだと思います。
ここで問題なのは、実際に核攻撃を受けた場合に、アメリカが反撃をしてくれるのかという問題があります。
私は間違いなく反撃すると考えています。日本には米軍基地もあり多くのアメリカ人も暮らしています。ここで反撃しないとなると、アメリカはどこから反撃をするのかというチキンレースに突入するおそれがあります。
本土を守るためにグアムなら反撃しないのか、ハワイならば反撃しないのかということが試されていくおそれがあります。
グアムでも反撃するということになれば、多くの米軍基地が存在し、多くのアメリカ人が居住する日本とその差はないと言えるのではないでしょうか。
万が一、アメリカが反撃しないということもあるのかもしれませんが、重要なのはアメリカが必ず反撃すると表明し続けることと、外交で核戦争にはしないということなのだと思います。
ロシアも中国も自国の存続のために日本の経済力や経済協力は不可欠なもので、ここから一気に核戦争ということは100%ありえないのだと思います。
両国とも領土領海に関しては異常とも言える執着がありますが、多少の小競り合いがあっても、外交で戦争にしないことは、それほど難しいことではないように思います。
日本の外交は目も当てられないほど下手くそで、三流であるということは世界的な常識となっていますが、領土の小競り合いから本格的な戦争になり、核戦争に至るということは、よほどへまなことをしない限りそんなことは起こりえないように思います。こちらからロシアや中国に対して侵略の意思を示さない限り、両国の関係をそこまで悪化させることのほうがはるかに難しいのではないでしょうか。
日本は日米同盟を確実にし、専守防衛に徹することで、核戦争ということには絶対にならず、むしろ核戦争にまで発展させることのほうがはるかに難しいように思うのですがどうでしょうか。