2016/04/26
原発の発電コストは政府のさじ加減で、結局私たちがすべて負担することに
原発がコストの安い電源というのは電力会社にとって安いのであって、私たち国民は 電源三法という形で原発の建設、運用に必要な原発建設地域への補助金を支払っていて、それは、原発の発電コストに含まれていません。そして、福島の原発事故の処理費用の一部も政府が肩代わりしていて、それは私たちが支払う税金で賄われています。また、電力自由化に伴い競争力を維持するために、廃炉費用も政府が肩代わりするといったことが検討されています。原発の発電コストは政府のさじ加減で安くも高くもなって、それで原発は安い電源というのはあまりにも都合が好すぎると言わざるを得ないのだと思います。
原発の発電コストは、電力会社が背負うコストだけではなくて、政府が支払う費用も含めて、私たち国民が実際に負担している費用すべてを発電コストと考えるべきなのではないでしょうか。
また、原発を稼働させれば電気代が安くなると言いますが、実際にどれだけ安くなるのでしょうか。普通に考えて、原発の割合はすべての電源の2割程度で、原発がただで電気を供給できるとしても、安くなるのは2割ということになります。実際には原発を動かすのはただではないわけですから、それほど電気代が安くなるとは思えません。2014年の時点で、原発の1kWhあたりの発電コストは10.1円、LNG火力のコストが13.7円、原発のすべてをLNG火力に代えると、13.7÷10.1×0.2でおよそ2.7%電気代が高くなる計算になります。日本の電力は総括原価方式で、コストに対して一定の割合をかけた値段になるので、おそらくこの計算であっているのだと思います。
1ヶ月の電気代が7000円とすると、7000×1.027で7189円になります。1ヶ月189円安くするために原発を稼働させ続けることは、はたして賢い選択といえるのでしょうか。
しかもこれは2014年のデータで、原発の廃炉費用や事故処理費用が確定していない時点のもので、いまは異常とも言える原油安で、火力発電もこれから燃費のいいものに代わっていったり、さらにシェールガスも本格的に市場に参入してくることが確実になっています。
原発のコストは上がる一方で、火力発電のコストはこれから劇的に下がっていくことが予想されます。
原発が安いと言っても、私たちが受ける恩恵は本当に限定的で、もしかすると近い将来火力の方が安くなるということもあり得るのだと思います。
リスクの分散と言っても原発の発電量はせいぜい2割で、原油の輸入が途絶えれば、原発でリスク回避ができるとは到底思えません。いざという時のシェールガスの融通、ロシアとの関係強化、石炭発電、再生可能エネルギーの強化、火力発電の効率化、省エネ技術の更なる革新といったことのほうが原発継続よりもはるかに重要なのではないでしょうか。
今回、熊本地震のように地震が起きないと言われてきた地域で、最高レベルの強さの地震が何回も起きたことを考えると、原発のリスクは今まで考えられてきたよりもはるかに深刻になったのだと思います。
もう一度原発の事故が起きれば、日本は壊滅的な打撃を受けることは想像に難くありません。
日本を守るために、未来の世代に美しい日本を残していくために、政府は大きな決断をするべき時が来たのではないでしょうか。