2016/12/26
南スーダンに対する日本の考え方
先日、国連安保理で 南スーダン制裁決議が採決にかけられ、7か国が賛成したものの、残る8か国が棄権し、採択されませんでした。日本は棄権して、アメリカや人権団体に非難されています。本来国連は中立の立場で、内戦の場合にはどちらにも加担しないということでしたが、加担しないことで多くの住民を見殺しにするということが続き、今はPKOに住民の命を守るという任務が追加されることになりました。
しかし、それは武力によるものではなくて、政府と反政府勢力の仲介をしたり、どちらの勢力とも良い関係を築くことで住民の命を守るという選択肢もあっていいのだと思います。欧米の国はどうしても敵か味方かという極端な選択を好む傾向があって。それが戦争状態を悪化させるということが頻繁に起きているということも言えるのだと思います。
反対勢力を根絶やしにするということはまず不可能で、どこかで妥協し、共存の道を探るということが求められるのだと思います。日本の場合には、無宗教で、70年間戦争をせずに奇跡的な経済発展を遂げてきたこともあって、多くの国から特別視されているというほかの国にない特徴があります。実際にそのような特徴を生かして日本人が部族間の仲介をして武装解除に貢献してきたという実績もあります。
日本は政府側とも反政府側ともいい関係を結びやすい立場にあって、政府側が住民に対して武力を行使しようとした場合でも、自衛隊がいるというだけで住民を守ることが出来るということもありえるのだと思います。
今ある紛争は、武力だけでは完全に解決することはできず、宗教、主義、主張が異なる者が共存することでしか平和状態を作ることはできない場合が多いように思います。ボスニア・ヘルツェゴビナはボシュニャク人(ムスリム人)とクロアチア人とセルビア人が血で血を洗う凄惨な紛争の後、内在的な対立はあるのかもしれませんが、平和的な共存の道を探っています。
日本はISからは敵国とみなされ、邦人がテロの標的になっているということは否定できませんが、まだ日本を好意的に見ている国は多いのだと思います。
西側諸国にあって、日本の特別な立場を捨ててしまうのは、世界の紛争を解決していく上で大きなマイナスであるということを粘り強く主張していく必要があるのだと思います。そのために国際的に意見が対立することがあっても、実績を積み重ねて信用を確立していく必要があるのだと思います。
そうすることで少しでも紛争解決の役に立ち、その様な行動が、PKO活動に従事する自衛隊員や在外邦人を危険から遠ざけることにもつながるのだと思います。
日本はキリスト教の国からもイスラム教の国からも信頼されやすく、戦争をしない国という特別な立場にあることを主張しながら独自の行動を取ることで、世界の紛争解決に尽力することが可能なのではないかと考えています。
日本の政府も中途半端な態度を取るのではなく、西側諸国に従うというスタンスではなく、逆に紛争解決のためのリーダーシップを取るくらいの覚悟を決めて、国際貢献に取り組んでもらいたいと思っています。