2017/03/25
安全保障における情報戦の重要性
ミサイル攻撃を受けた場合に敵基地に対して反撃することを政府が検討し始めましたが、その情報に触れた中国やロシアがどのように考えるかという視点が大きく欠けているように思います。これまで日本を守ってきたのはアメリカであって自衛隊の割合はごくわずかと言っていいのだと思います。アメリカの追随を許さない軍事力、後先を考えない常軌を逸した行動力、莫大な軍事費、戦争の際の国民の結束力は世界随一と言ってよく、中国、ロシアといえども簡単には手を出せないのは当然なのだと思います。
一方日本の政府、与党、知識人と呼ばれる人達の情報戦に対する認識の甘さは常軌を逸しています。70年間平和であったことから平和ボケも極まってしまっているので仕方がないとは思いますが、それにしてもひどすぎます。ロシア、中国という世界でも屈指の軍事力を持ち、拡張主義を隠そうともしない国が隣国としてありながら、「アメリカはいざとなった時には日本を守らない」といった言葉を普通に公の場で口にする人間が山のようにいて、気が触れているとしか思えません。
このようなことを口にした上で、本来アメリカの役割である他国への攻撃を最高法規である憲法を無視してまで可能にするということを聞いたときに、中国やロシアはどのように考えるか想像することはないのでしょうか。『やはり多くの日本の要人、知識人が言っているように日米同盟は一枚岩ではなく、アメリカは日本のことを相当軽く見ていて、いざという時にはアメリカは動くことはないのだろう。』と思わせる、かなり強いメッセージになっていることは間違いないのだと思います。中ロにとって怖いのは百戦錬磨のアメリカだけで、70年間戦争もしておらず、戦争において最も重要な情報戦のイロハのイすらわかっていないど素人が、多少軍備を整えたくらいなら楽勝だと思っているに違いありません。
安全保障で最も大切なことは、日本を守ることはアメリカの国益や安全保障にとって極めて重要であるとアメリカに認識させること、そして隣国に日米同盟が一枚岩であることをアピールし続けることで、いざという時にアメリカが日本を守らないなどということは口が裂けても言ってはならないのだと思います。
中ロが連携したり、どちらかと交戦状態になったとき、他方が漁夫の利を狙ってくることを考えると、日本が一国でこの国を守ることは不可能で、どれだけアメリカに日本の防衛にコミットさせるかが極めて重要なのだと思います。そのために経済的な貢献や、憲法の範囲内での国際協力や軍事協力は必要だと思いますが、度が過ぎれば返って日本の安全保障に大きなマイナスになるということも考えておくべきなのではないでしょうか。