2017/04/30
森友学園問題の本質
森友学園の問題で、総理夫人による政治的関与や財務省の忖度があったのではないかと主張しているのは、首相側の動きも財務省の事情もわからない籠池氏だけで、信用に足る証拠は何一つないのだと思います。籠池氏が所持する証拠の音声の内容からしても、この問題は近畿財務局が必要なプロセスを踏まずに森友学園と随意契約を結んだことが発端で、そのことを指摘した籠池氏に対して土地の大幅値引きをしたというのが真相なのだと思います。
本来この土地を売却する前に財務局側がゴミの撤去をして、会計法に基づいて競争入札を実施していれば何の問題もなかったのだと思います。ゴミの撤去には土地の値段以上の費用がかかるとは言え、競争入札にすれば問題が起こることもなく、近くの国有地売却の例から見ても利益が出ていた可能性は十分にあったのだと思います。
この問題は、総理夫人による政治介入や総理への忖度などが挟む余地もなく、近畿財務局の本来なすべき業務のサボタージュによって生じたもの以外の何者でもないのだと思います。
この問題で裁かれるべきは様々な詐欺行為を働いた籠池氏と、サボタージュによって本来得るべき資産売却の利益が得られなかった近畿財務局の背任行為で、その二つは司法の場で裁かれるべきなのだと思います。
そして、国会の審議で最も問題になっているのは、財務省が記録を一切残していないということで、これは証拠隠滅の疑いもあります。記録の保管の義務をなくしたのは官僚自身が制定した法令によるもので、例えば国民の生命に関わるような国の重過失があった場合でも、記録がないことで責任の追及自体が不可能になるおそれも十分にあります。もう一度各省庁で記録の管理を徹底する法律を国会で制定する必要があるのだと思います。
もう一つ問題なのは、今回の国有地売却を、財務省が制定した政令に基づいて随意契約にしたことです。法律には優先順位があって、第一に憲法、その次が国会で制定した法律、官僚や地方自治体が独自に制定した政令は、法律よりも優先順位は下になるはずです。会計法では国家が有する資産の売却は競争入札が基本であって、随意契約にするにはそのほうが売却益が増える場合に限られていて、相手の都合は一切考える必要がありません。法律よりも官僚が作った政令のほうが優先されることはありえなくて、もしこのことが司法の場で争われた場合には、財務省に勝ち目はないのだと思います。官僚の裁量だけで随意契約が簡単に結べるようになると、国家の資産売却の際に利益が縮小されたり、利益供与の温床になるおそれもあるのだと思います。どうしても事務手続き上の不都合があるのであれば、これは国会で審議をして会計法自体を改正するべきなのだと思います。
この問題の本質は、総理夫人の関与や忖度の話ではなく、官僚の裁量が大きくなりすぎていることにあるのだと思います。マスコミもしっかりと事実を報道して、財務省や官僚のあり方に批判の矛先を向けるべきだと思うのですがどうでしょうか。