2017/11/19
北朝鮮問題へのアメリカの対応は4つあるのだと思います。
①国際社会の圧力とアメリカの軍事的な圧力が功を奏し、北朝鮮が完全に核を放棄する。
②完全に放棄しないまでも開発を一時停止することで対話を始める。
③北朝鮮が核を放棄せずに武力行使に踏み切り金政権を終わらせる。
④北朝鮮が核を放棄せずに実質的に核保有国と認め対話を始める。
①に関しては、アメリカと中国、ロシアが同時に圧力をかけ、核を保有せずともアメリカは北朝鮮を攻撃する意思がないということを説得できれば実現する可能性がないとは言えませんが、その実現はかなり難しいと言えるのではないかと思います。
一時的な措置にはなるのだとは思いますが、60日間挑発行為がなければアメリカは対話を始めると言われていて、②の可能性が一番高いのではないかと思います。もう既に水面下ではかなりの対話が進んでいる可能性もあるのだと思います。
今回のトランプ大統領のアジア歴訪では、日本、韓国への訪問時には北朝鮮に対してかなり強い口調で軍事攻撃もあり得るとしていましたが、中国訪問時にはかなりトーンダウンしていて、③のおそれは全くないとは言えませんがその確率はかなり下がったように思います。
識者の中には確実に武力行使により北朝鮮を崩壊させると主張する人もいて、戦争、戦後とも見通しがかなり甘いアメリカならやりかねないとも思えたのですが、やはり韓国、日本、グアムやハワイ、場合によっては中国への北朝鮮の攻撃を完全に防ぐことは不可能ですし、戦後の難民問題、または金政権の崩壊による脱北者の激増は極めて深刻で、北朝鮮兵士が武装難民として周辺国になだれ込むという事態になれば全く収拾がつかなくなることは目に見えているのだと思います。武力行使は現実的ではないということと、戦争時、または戦後に多大な被害を被るおそれのある中国、ロシアがアメリカの軍事オプションを許すことは考えにくく、米朝の戦争というのは普通に考えればありえないのだと思います。
実際にトランプ大統領の発言も、習近平主席との対話、ASEANでのプーチン大統領との短い会見の後には、金正恩氏といつか友達になれるかも知れないとつぶやくほどに一変しています。
④に関しては、核保有国と認めて対話をはじめるか、表向きは認めずに黙認して水面下のみの交渉となるかはわかりませんが、いずれにしても日本は大きな方向転換を余儀なくされるのだと思います。1971年の米中の頭越しの交渉の時のようにあたふたしないために、できれば米朝の二国間ではなく、韓国も交えた4カ国間、少なくとも日本も参加する3カ国交渉になるようアメリカの動きと同調できるような準備は、圧力強化の動きと同時に行っていく必要があるように思います。
①②④のいずれの場合にも金正恩政権を認め、北朝鮮との国交回復、中国や韓国に行ったような経済援助という名の戦後賠償は行わざるを得ないのだと思います。
その時に問題になるのは拉致問題ですが、一気に問題解決というのはかなり難しくて、オール・オア・ナッシングということになればナッシングになる確率がほぼ100%と言っていいのだと思います。
日本に帰国できた人々は工作活動に関係していない人たちだけで、横田めぐみさんと田口八重子さんは工作員の日本語教師をしていて、北朝鮮の最高機密に精通し、今まで北朝鮮が行ってきた国際犯罪の証人になる可能性があるために、北朝鮮は何があってもお二人を返すということはできないのだと思います。お二人とも亡くなられたとされていることから、他の亡くなられたとされる方々も工作活動に深く関係していたことが予想され、全ての拉致被害者の安否を確認するためには、それらの方々を日本に戻すのではなく、北朝鮮国内で監視を付けた状態で会見するということから始める必要があるのだと思います。
まずは安否の確認、そして、一刻も早く拉致被害者の方々とご家族が対面できる環境を作ることが最優先で、そのあとのことはそれから考えるべきなのだと思います。
横田滋さんも会見に出られないほど健康を害されていていて、横田さんがお元気なうちになんとしてもひと目でもめぐみさんと対面できる場を作る責任が政府にはあるのだと思います。
完全解決ではなく、ひとつひとつ可能性の高い目標からクリアをしていくという姿勢が、拉致問題解決の唯一の道だと私は信じています。
ご家族の方々も歯がゆい思いをされることになると思いますが、できることから一歩一歩進んでいくという選択をお願いしたいと思っています。