2018/01/25
昨年から米軍のヘリコプターの事故が相次いでいて、兵士の方々も含めて死者が出ていないのは幸いですが、ハインリッヒの法則から言えばそろそろ重大事故が発生してもおかしくないのだと思います。1つの重大事故の背後には29の軽微な事故があり、その背景には300の異常が存在するというハインリッヒの法則は、約75,000例の分析で明らかになったもので、300の異常の背景には幾千件もの「不安全行動」と「不安全状態」が存在していると言われています。
これらの事故の98%は防げる事故と言われていて、なぜこのような事故が多発するのか、原因を明らかにして再発防止を確実に行う必要があるのだと思います。
在日米軍と沖縄の人々との間には私たちが知りえない深い溝があって、この溝を埋める努力を政府も私たちも日本人全員で粘り強く続けていく必要があるのだと思います。米軍と沖縄の人々の溝がこれ以上深まれば、拡張主義を隠さない中国にその隙を突かれるおそれは十分にあるのだと思います。沖縄の人々のためだけではなくて、日本の安全保障に大きな影を落とす問題であるということを多くの人が認識するべきなのだと思います。
今回までの事故や米軍と沖縄の人々との険悪な関係にはアメリカにも大きなデメリットがあるのだと思います。
まずひとつめは、大きな事故が起きれば多くの死者が出る危険があるということだと思います。たとえ民間に被害がなくても操縦している兵士の方の命の危険があるということをアメリカは深刻に考える必要があると思います。
これは日本の自衛隊にも言えることですが、膨張する防衛費、軍事費の中で整備に関わる費用が縮小され、古くなった機体に対する対応が十分に実施されていない傾向が日米にあるのだと思います。軍備が拡張していけばそれに伴って整備や古くなった機体の入れ替えの費用も増大していくことは当然のことであって、ここだけは絶対に費用を抑えてはならないのだと思います。これは国民の命にも関わりますし、隊員や米軍の兵士の命に関わることですので、整備の体制はこれまで以上に万全を期していただきたいと思います。
ふたつめには、米軍の指揮系統の乱れが存在するのではないかという疑念です。米軍ヘリから小学校のグラウンドに窓が落下するいう事件の後、小学校の上空の飛行はできる限り行わないという約束が取り交わされたはずですが、はやくもその約束が破られています。もしこれが自衛隊ならばその約束は100%守られるのだと思いますが、米軍ではこんな簡単なこともできないというのはあまりにも大雑把で、作戦遂行時にもそれが的確に遂行されるのか大きな疑問が残ります。
戦地では、レーダーで発見されやすい場所や撃墜されやすい上空の飛行は命取りになるはずで、普段の訓練でできないことが実践でできるとは到底思えません。同盟国としては普段から軍の精度を見せてもらえないと、いざという時に的確な行動ができるのか大きな不安に駆られざるを得ません。こんな簡単なこともできないということを他国に見せることはアメリカにとっても大きなマイナスになると思うのですがどうでしょうか。
みっつめは、いわゆる地位協定に関してですが、戦後すぐの治安が厳しい状態、安定してきた状態、同盟国として信頼が深まった状態で、地位協定の内容が全く一緒というのは、米軍の駐留する地域の人々との軋轢が増して、本来命をかけてその国を守っているはずなのに逆に憎まれる存在になってしまうというのは、米軍の兵士の方々にとっても大きな不幸なのではないかと思います。
このように日本や沖縄だけでなくアメリカにとっても大きなマイナスになることだということをその場だけの抗議ではなくて、時間をかけて粘り強く訴え続けることが何よりも大切なのだと思います。
最後に、アメリカは多くの戦争をしてきましたが、戦後統治があまりにも下手で、現地の人々への配慮が大きく欠けることで民間人の犠牲者を多く出し、統治の過程で不必要な敵を数多く作ることで多くの兵士の犠牲者も出し、戦争以前よりも憎悪を増大させて撤退するということを繰り返すことで、アルカイダや「イスラム国」という巨大テロ組織を自らの手で生み出してしまいました。
民間人を傷つけないというのは、単に倫理的な問題ではなく、兵士の命を守り、アメリカ国民の命を守り、多くの同盟国の国民の命を守ることにもつながるのだと思います。
アメリカの統制の取れていない軍による雑な統治で、多くの民間人の命が失われ、その憎悪がテロを増大させ、同盟国の被害も拡大させていることは疑いのない事実なのだと思います。そうであるならば、アメリカとの直接交渉だけではなく、多くの同盟国を巻き込む形で民間人を傷つけないことのメリットを訴え続けることで、在日米軍と沖縄の関係も今よりもっと良いものになると私は確信しています。
この問題をより良い方向に導けるように、政府にはあらゆる人脈を駆使して力を尽くしていただきたいと思っています。