2022/02/28
温暖化、寒冷化の両睨みで準備を
北極海の氷に異変が起きています。日本の気候と北極海の氷には相関関係があって、ここ10年では冬に北極海の氷が増加すれば暖冬、そして夏になると北極海の氷面積が一気に減少するという傾向がありました。しかし今年は北極の氷面積が2010年代の平均以上を保っているにもかかわらず日本は厳冬になっています。これは北極海上空の寒気の範囲が大きく増加していることが原因であると考えられます。ここ10年は北極海の寒気の勢力が著しく縮小していて、日本まで寒気が南下すると北極海上空の寒気がちぎれてなくなってしまっていて、北極海の気温が上昇し北極海の氷が増加しないという状況が続いていました。そして次の夏には冬の間に冷やされた空気や海水が北極に流れ込むことで北極海の氷面積がそれほど減少しないというパターンがありました。逆に冬の間寒気が南下しないと北極海上空に寒気がとどまることで北極海の氷面積は増加し続けるのですが、北極圏以南の空気や海水温が上昇し続けてそれらが夏に北極海の温度を上昇させ北極海の氷面積を著しく縮小させるというパターンを繰り返してきました。それが最も顕著に現れたのが2012年で、それ以降もこの2つのパターンが繰り返されてきました。しかし、2021年には冬に北極海の氷面積が増加しているにもかかわらず夏の氷面積も例年よりも増えていて、今年の冬は日本がかなりの厳冬であるにもかかわらず北極海の氷面積は2010年代の平均以上の氷面積を維持し続けています。そして今年の夏はトンガの火山の大噴火の影響で冷夏となり、北極海の氷面積も例年以上に増え続ける可能性があります。これを繰り返せば世界は小氷期に突入するおそれがあって、それが小氷期ならばいいのですが、再び氷期に突入するおそれも否定できなくて、そうなれば温暖化よりも遥かに多くの命が失われるおそれがあります。地球の歴史を10万年単位で見ると、氷期は9万年、間氷期は1万年というサイクルを繰り返していて、そのサイクルに従えば、すでに2000年前に氷期に突入していなくてはなりません。つまり、いつ氷期が始まっても全く不思議はないと言っていいのだと思います。氷期に比べれば温暖化のデメリットは微々たるものと言ってよくて、逆に温暖化には多くのメリットがあると言ってもいいのだと思います。人間が生命を維持するためには大量の淡水が必要で、飲料水、生活用水、工業用水、農業用水等人口の増加に従って莫大な量の淡水を必要とします。気温が上昇すれば水蒸気も増加し、降水量も増加します。小氷期であった17世紀と比べると現在の降水量は遥かに増加していて、70億人を超える人口を曲がりなりにも養えているのは温暖化のおかげとも言えるのだと思います。これが氷期に突入すれば、水蒸気量は間違いなく減少し、降水量も著しく減少するのは間違いありません。特に農業用水の不足は深刻で、これだけ人口が膨れ上がったなかで農業用水が十分に確保できなれば、貧困国を中心におそらく数億人の命が失われるのではないかと思います。
地球は9割が氷に覆われる期間が占めていて、その要因が全くなくなったとは考えられません。現に今は寒冷化の走りであるおそれも否定できないのだと思います。温暖化にせよ寒冷化にせよ、地球は常に大きな気候変動を繰り返していて、世界はそれに備える必要があります。それには多くの資金が必要で、気候変動対策基金といったものが絶対に必要なのではないでしょうか。北欧諸国は政治の透明化に定評があり、基金の運用にも優れた能力を発揮しています。ノルウェー、デンマーク、フィンランドといった国々に資金を集めて管理、運用をしてもらい、あらゆる気候変動に備えるというのはどうでしょうか。
温暖化だけではなく、寒冷化のおそれも全く排除できるとは思えません。世界は両睨みで双方の事態に備える必要があるのではないでしょうか。