2023/01/24
金融緩和の出口
金融緩和の出口について話題にする専門家がいますが、黒田総裁が言及されているようにその時期では全くありません。日本の金融緩和は、欧米と比べると周回遅れで始まり、しかも効果が出始めるのが遅かったため、賃金上昇を伴う2%の物価上昇が定着するまで金融緩和はあと数年は必要となります。出口に関しては、賃金上昇を伴う物価高が顕著な欧米が先行して進行中なので、それを見習えばそれほど難しいことはありません。
金融の引き締めは確実に景気を冷やし、成長を阻害するものなのでできる限り避けるべきで、賃金の上昇と物価の上昇が異常なペースになった場合にのみしぶしぶ行うもので、わざわざ経済成長を鈍化させるために積極的に行う政策ではありません。人の体で言えばがんの増殖を抑えるための抗がん剤治療のようなもので、間違えれば抗がん剤の副作用で死んでしまうおそれがあります。
日本の経済は欧米と比べれば物価もそれほど上昇していませんし、賃金の上昇も始まったばかりです。人で言えばまだまだ体力をつけるための栄養剤や栄養食が必要な状況で、がんも発生しているとは言えないので抗がん剤治療は必要ありません。
金融緩和でおそれなくてはならないのは異常な通貨安によるハイパーインフレですが、ゼロ金利政策を維持しながら今月だけで17兆円もの紙幣を増刷し国債を買い支えているにもかかわらず円高に振れているので、ハイパーインフレの心配は全くないと言っていいのではないかと思います。
日本は諸外国と比べるとまだまだ物価上昇も緩やかで金融引き締めの必要がないため、世界経済の牽引役を期待されています。黒田総裁退任後も適切な金融政策を維持し、日本のため世界のために強い経済を作りあげていただきたいと思います。
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